ファーウェイのスマートフォンにグーグルアプリが復活か 米トランプ政権が禁輸措置一部緩和へ

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米トランプ政権が、中国の通信機器大手ファーウェイに対する事実上の禁輸措置を一部緩和する方針を固めたと米ニューヨークタイムズ紙が報じた。同紙は事情に詳しい人物の話として、トランプ政権が一部の米国企業に対し、機密保持に大きく関与しない製品に限ってファーウェイへの供給を許可する特別ライセンスを近日中に付与すると伝えた。

スマートフォンやガジェット専門の米ニュースサイトPhoneArenaやGizmodoは、「これはファーウェイ製品が近い将来、再びGoogleモバイルサービス(GMS)のライセンスを取得できることを意味しているのではないか」と評している。

ファーウェイが発表したスマートフォンの最新機種「Mate 30」シリーズにはGMSライセンスが付与されていない。つまり、同機種ではGooglePlayやYouTube、Gmailなどグーグル系のサービスやアプリは搭載されていない。そのため、海外ユーザーを中心に大規模な「ファーウェイ離れ」が懸念されている。携帯電話の評価サイトGMSArenaの調査によると、グーグルアプリの使えないファーウェイ製品について、22%の回答者が「使うのをためらう」としたほか、17%が「グーグルアプリが使えないならもっと値下げしてほしい」と回答している。

ファーウェイはこれに対し、独自の「HUAWEIモバイルサービス(HMS)」で対抗している。HMSはブラウザ、音楽、動画、モバイルクラウドなどを網羅するほか、海外ユーザー向けのアプリストア「AppGallery」も運営する。しかし、これはグーグルによるサービスを完全に代替できるものではない。Mate 30シリーズ発表直後には、同機種にグーグルアプリをインストールする「抜け道」が海外ユーザーの間で話題となったが、現在ではこの方法は無効となっている。

天風国際証券(TF INTERNATIONAL SECURITIES)のアナリスト郭明錤氏は「ファーウェイのハイスペック機種は7割が中国国内向けに出荷されるため、Mate 30シリーズの海外での売り上げが不振だったとしても影響は限定的だ」とし、同シリーズの年内の出荷台数を2000万台と見込んでいる。とはいえ、GMSライセンスなしでは競合他社と同等の条件で戦えない。

いわゆる「ファーウェイショック」以降、ファーウェイは国内市場重視に戦略転換を図り、出荷台数の伸びを維持しようとしている。しかし、過度な国内依存は同社のグローバル展開を阻む結果となりかねない。

TMT業界専門の調査会社カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチのデータでは、今年第2四半期におけるファーウェイの欧州市場での出荷台数は前年同期比16%減となり、市場シェアは18.8%にまで下がった。第1四半期の市場シェアは26%で、アップルを抜いて2位につけていた。

ファーウェイのコンシューマー向け事業グループCEOリチャード・ユー(余承東)氏は、「ファーウェイショックがなければ、我々のスマートフォンの出荷台数は今ごろ世界一になっていただろう。しかし現状を鑑みれば、今年は2位に甘んじるしかない」と複数回にわたり発言している。

ファーウェイは主にIoT機器を想定したOS「HarmonyOS(鴻蒙)」を自社開発し、Androidの代替とするなど対策に動いているが、OSやそれらをとりまくエコシステムが成熟するには一定の時間がかかる。そのため同社は先日、「年内にHarmonyOSを搭載したスマートフォンは発表しない」と明言している。しかし、再びGMSのライセンスを取得できるならば、海外市場での苦境も大幅に挽回できるだろう。Mate 30シリーズは欧州を皮切りに海外市場での発売を予定していたが、いまだ発売に漕ぎつけていない。しかしGMS解禁となればこれも打開が可能になるだろう。
(翻訳・愛玉)

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