ECブームで需要急増、中国新エネ車メーカーが宅配専用車を開発 目指すは無人配送車の商用化

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中国では宅配需要が急増する一方で、生産年齢人口は減少している。宅配ドライバーの仕事量は今後、増加していくだろう。宅配ドライバーは大抵、三輪タイプの電動宅配車両を使う。三輪電動車は安価で小回りが利く上、積載量も多く、ほぼ宅配ドライバーの標準装備になっている。

しかし、このツールには明らかな欠陥がある。三輪電動車は電動スクーターより大きく、自転車や歩行者の安全を考えれば自転車道や歩道を走るわけにはいかないのだが、かと言って車道を走るほどのスピードはない。ほとんどの宅配ドライバーは自前で宅配車両を購入しているため、交通事故に遭っても宅配会社には法的な責任はないうえ、この手の車両には業務車両用自動車保険がないため、ひとたび交通事故を起こせばドライバーの負担は大きい。

NEV(新エネルギー車)メーカー「矩陣数拠(上海)科技(Juzhen Shuju Technology)」はこの問題に着目、配達用NEV「橙仕(Chengshi)01」を開発し、アリババグループが開催する2020年の「天猫双11全球狂歓季(ダブルイレブンショッピングフェスティバル)」でリリースした。

矩陣科技CEOの谷祖林氏は、このブランド名は「事を成し遂げる」という意味の中国語「成事(Chengshi)」および英語の「チャンス」にかけたものだと説明する。宅配ドライバーに新しい収入のチャンスをもたらし、事業の成功を支援するという意味だ。

配達員向けカスタマイズ車

橙仕01の外観はシンプルなデザインで、車両は幅1.5メートル、長さ3.5メートル、高さ1.7メートルと街中でも小回りが利くコンパクトサイズだが、貨物室は容積2.6立方メートル、最大積載量600キロと大容量だ。冷蔵庫やエアコンなど大型荷物も積載できるよう屋根は開閉式になっている。橙仕01は設計段階から宅配ドライバーを招いて意見を聞いてきたという。

橙仕01は、きちんとナンバープレートが交付されるNEVだ。宅配ドライバーでも購入しやすいように、バッテリーのコストを最小限に抑えている。シャーシの軽量化により消費電力を削減し、10キロワット時で走行距離120キロメートルを実現した。これは従来の三輪電動車の3倍の航続距離である。一度の充電で最大240キロメートル走行可能なバッテリー管理システムも自社開発した。

橙仕にはITS(高度道路交通システム)も装備されている。地方自治体は、橙仕の運行状況をモニタリングすることにより宅配輸送状況を把握し、宅配ドライバーの安全と円滑な都市交通を確保できる。

宅配ドライバー収入アップのために

矩陣科技は、宅配ドライバーのために橙仕を活用した新しい収入チャネルも用意する。橙仕の背面には広告が表示できるデジタルサイネージが配備され、矩陣科技が自社開発したインターネットアプリ「小哥駕到(XiaogeJiadao)」を通して、ドライバーたちは配達、買い物代行のほか広告表示の依頼も受け取れる。

同社は既に「滴滴貨運(DiDi Huoyun)」など都市流通プラットフォームと提携を結び、小哥駕到の宅配ドライバーが配達の依頼を受け取れるようにしている。小哥駕到プラットフォームを介して得る収入には手数料はかからず、そっくり宅配ドライバーの所得になると谷CEOは述べる。

有人車両から無人車両へ

配達用NEVのリリースは 矩陣科技の最終目標ではない。 同社の目標は、車道を走行できる無人配達車の大量生産だ。

矩陣科技の谷祖林CEO

谷CEOは、社内に無人車両の研究開発を専門とする「0号」ラボを設立した。ここで研究開発しているのは、自動運転アルゴリズムではなく、無人車両そのものだ。谷CEOによると、新しい車両の設計草案が実際の生産に至るまでには少なくとも24カ月かかり、この間に1000社近いサプライヤーとの意思疎通も必要になるという。さらに、無人車両と有人車両の内部構造は完全に異なり、サプライヤーや製造プロセスも大きく異なる。

自動運転宅配車「橙仕00」

0号ラボの名前には「搭乗者0の無人車両の開発と、既存の有人車生産ラインを0カ月で無人車両生産ラインへと切り替える」という作業目標も含んでいる。無人車両全体を設計するにあたっては、既存のサプライヤーを最大限に活用しつつ、生産ラインの切り替えをスムーズに行えるよう現場のスタッフをトレーニングするという。自動車用の規格を満たすセンサーとチップの開発に成功すれば、橙仕01の生産ラインを1カ月のうちに無人車両「橙仕00」の生産ラインに切り替えることを目指す。 谷CEOは「当社の無人車両は、他の企業よりも1年以上早く生産ラインに乗り、市場シェアを一気に奪えるだろう」と述べている。(翻訳:永野倫子)

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