中国で花開く「日本酒ブーム」

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中国で花開く「日本酒ブーム」

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日本酒の輸出総額が過去最高を更新した。日本酒造組合中央会は2018年2月20日、前年の日本酒輸出総額が186億円を突破し、過去最高となったと発表した。中国の「日本食ブーム」が後押ししたとみられる。

中国で日本酒ブームが花開いた

財務省の貿易統計によると、2017年の日本酒の輸出総額が過去最高を更新した。国別輸出金額の1位は米国でシェアは32.3%、2~5位は、香港15.0%、中国14.2%、韓国10.0%、台湾5.1%とアジアの国々が並び、特に中国の伸びが著しい。

中国への輸出金額は前年比83.5%(約12.1億円)増、数量も同74.9%(約1,430キロリットル)増と急拡大し、日本酒造組合中央会では「中国で、日本酒ブームがついに花開いた」と喜んでいる。

需要は和食レストランがけん引

海外での日本酒の需要の多くは和食レストランでの消費によるものだ。その店舗数が増えれば日本酒の消費が増えるのも必然的で、日本酒を飲む機会が増えれば、それだけ現地の日本酒好きも増えていくという構図だ。

農水省と外務省の調査によると、海外の和食レストラン数は、2015年の8.9万店から2017年は約11.8万店にまで増加した。2年間で2.9万店が増えたわけだが、うち2.3万店がアジアでの出店だ。アジアでの日本酒需要の拡大は、この和食レストランの増加によるものだといえる。

訪日経験者による需要の高まりも

10年ほど前の中国では、日本酒の需要は現地在住邦人によるものだった。しかしここ数年は、訪日経験のある中国人が「日本で味わった日本酒を中国でも楽しみたい」としてニーズが高まり、日本産の日本酒を高級品として愛飲する傾向にあるという。

中華料理との融合で新たな販路を

また、日本貿易振興機構(JETRO)の2017年の分析では、日本酒は中国主要市場においても販路が和食レストラン、日系小売店と限定的であり、今後、中華料理との組み合わせを提案するなど新たな販路開拓が必要としている。

中国の日本酒事情

流通は日系食品店・日系デパートが中心

一般社団法人全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会が2016年3月に発表した「調査研究事業報告書」によると、中国での日本酒販売に関しては、日本人の多く居住するエリアの小規模な日本食品店をはじめ、日系の食品チェーン「しんせん館」や外食チェーン「マルシェ」などがあり、低価格帯から中価格帯の日本酒を扱う。また、日系デパートの伊勢丹や高島屋でも、低価格帯から高価格帯のまで幅広い銘柄が販売されている。

百貨店や外国人向けの高級スーパーマーケットでの需要は贈答用が多く、酒器などと組み合わせた化粧箱入りのギフトセットも多く見受けられるほか、凝ったショーケースに陳列されている売場も見受けられる。

また、日系小売以外でも「Eマート」(韓国のディスカウントストア)や「カルフール」(フランスのマーケットチェーン)などの量販店で扱われているようになってきており、徐々に地元市場に根付き始めているようだ。

“中国産”日本酒と国産日本酒の棲みわけ

2008年の北京五輪前後に日本企業の進出が相次いだこともあり、中国では日本料理店の数が急増した。それに伴って日本酒の輸出量も拡大傾向となっている。

しかし、中国人が主要顧客となっている食べ飲み放題の日本食レストランで供されるは中国産の日本酒が主流であり、国産の日本酒はビジネス接待などに使われる高級店で主に取り扱われている。上海などの大都市では開発と高所得者層が増加するとともに、内装などにもこだわった高級志向の和食レストランが増加傾向にあり、国産日本酒の浸透と消費拡大が期待されている。

「日本産の清酒」消費拡大への課題

中国で日本酒といえば、従来は飲み放題のレストランで提供される中国産の安価な日本酒のイメージだった。しかし、前述のような背景もあり、高価格帯の吟醸酒なども消費が増える傾向にある。

ワインでもフランス産の高級ワインが重用されるようになったのと同様、1本数千元もするような有名銘柄の大吟醸に注目が集まっているのだ。名酒の価値をアピールし、市場を広げることも必要だが、ボルドーワインのようなバブル的ブームに終わらせぬためにも、中間層を中心とした一般消費者への浸透が欠かせないだろう。

業界ぐるみの取組みが必要

各輸入商社や蔵元は15年ほど前から、中国で現地企業向けの試飲会や商談会を開催し、拡販を図っている。しかしながら、各社が個別で取り組んできたため小規模にとどまり、効果が限定的なケースも多く見られる。

一方、一般消費者をターゲットにして、日系百貨店で行われる物産展への出展や日本料理店でのイベントなども行われているが、やはり規模の面で限界があり、認知度を大きく高めるには至っていない。

日本酒の拡販にあたっては、蔵元や地域の独立した取り組みではなく、業界全体ぐるみで当たることが有効だろう。

訪日客の酒蔵体験をSNSで拡散

訪日旅行客が近年増加し続ける中、その訪問先も多様化しており、日本各地の酒蔵を訪れた人がSNSで情報を発信するケースも増えている。日本で本物に触れた人々を巻き込み、草の根的に日本酒の知識を広め、認知度を高めてもらう取り組みも重要だ。

飲食店でのセールスサポート

前述のとおり、「安価な中国産日本酒」が長らく普及していたため、仮に飲食店に純米酒や吟醸酒などが置かれていても、それだけで手に取ってもらうことは難しい。販促に関する従業員教育を図るとともに、たとえばメニューで「日本酒と料理のマリアージュ」を提案するなどのしかけ作りも欠かせない。

なお、日本の酒蔵が中国での生産に踏み切った例もある。奈良県の中谷酒造株式会社は、1995年に「酒の仕込みに適した気候」であることから中国・天津で日本酒生産をはじめた。もともとは日本での販売が目的だったが、現在では「日本食ブーム」が後押して中国国内での販売が主になったという。日本酒マーケットも拡大の一途をたどっており「生産が追いつかないほど」とうれしい悲鳴を上げている。

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