水素ガスタービン、開発遅れた中国でメーカーが急成長 脱炭素が追い風に

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水素ガスタービン、開発遅れた中国でメーカーが急成長 脱炭素が追い風に

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脱炭素を目指して水素を活用したガスタービンを開発する「慕帆動力科技(MARVEL-TECH)」がこのほどプレシリーズAで5000万元(約10億円)を調達した。達晨財智創業投資管理(Fortune Capital)が出資を主導し、シャオミ創業者の設立した順為資本(Shunwei Capital)や既存株主の紫竹小苗股権投資基金(Zizhu Xiaomiao Equity Investment Fund)も出資に参加した。

慕帆動力を創業した林鋼CEOによると、調達した資金は主に製品加工やモデルプロジェクトの構築、研究開発チームの拡充、開発試験の実施、営業拠点の拡大などに充てるという。

慕帆動力は2015年に設立され、ターボ機械に次世代エネルギーを取り入れるべく尽力している。二酸化炭素を排出しない水素エネルギーを使った次世代発電技術や製品の開発に取り組み、主な製品は水素を用いたガスタービンだ。分散型エネルギーやデータセンター、軌道交通、船舶の動力、自動車の動力、エネルギー貯蔵によるピークシフトなど、カーボンニュートラルに関わるさまざまなシナリオに用いることができる。

慕帆動力の製品

ガスタービンはこれまで天然ガスを主な燃料としてきたが、二酸化炭素排出削減が進む近年、世界のエネルギー企業は水素を燃焼させて発電する水素ガスタービンを手がけるようになり、新ジャンルとして確立されつつある。関連機関の予想では、2050年までに世界で水素ガスタービンの設備容量は3億キロワットに達し、その市場規模は1兆元(約20兆円)クラスに達するという。

独シーメンスや日本の川崎重工など、早くから水素ガスタービンを手がけてきた企業はすでに技術的な実行可能性を検証済みだ。一方中国は、優れた国産の動力機械がないことや開発や製造に時間がかかることなどが理由で、市場拡大の兆しすらない。しかし、水素ガスタービンは脱炭素の面で優位性があり、成長のロードマップも明確だ。中国では水素エネルギーの製造・貯蔵に関する技術が革新を重ねており、水素ガスタービンの活用も将来的に目覚ましい進歩を遂げると期待される。

慕帆動力のコアメンバーはドイツでガスタービンの技術開発に長年携わってきたメンバーや中国国内でターボ機械の開発・製造を長年手がけてきたメンバーなどベテラン勢で構成され、19年末に中国初の水素ガスタービンの開発・製造を実現した。

同社の製品は100キロワット、2メガワットの小出力、8メガワットの大出力の合計3種の純水素ガスタービンだ。出力によって対応するシーンは異なる。慕帆動力を創業した林鋼CEOによると、2メガワットのガスタービンは冷却・加熱・電力の複合式(CCHP)で、これを用いれば、ホテルや学校、病院など建物に導入された分散型エネルギーシステムがエネルギーのカスケード利用(利用済みのエネルギーを用途を変えて繰り返し利用すること)を実現できる。

100キロワット級の水素ガスタービンは軽量化されていることが武器となり、航空機のハイブリッドシステムに用いるレンジエクステンダーに適しており、次世代eVTOL(電動垂直離着陸機)向けに二酸化炭素排出量ゼロの動力を供給できる。同時に、ガスタービンが新しい燃料の導入を検討するにあたって、100キロワット級の小出力ユニットはシステムの検証作業に活用できる。

小出力の水素ガスタービンユニットはすでに製造・加工の段階に入っており、まもなく完成品テストが実施され、すでに多くの顧客から注文を受けている。大出力のユニットは開発・設計段階で、25年に完成品テストを実施する予定だ。

天然ガスを用いていたこれまでのガスタービンと水素を用いたガスタービンの最大の違いは燃焼段階にあると林CEOは説明する。「水素ガスの燃焼速度は天然ガスの約10倍で、燃焼温度は200〜300℃も高い。こうした違いが原因で水素ガスタービンは燃焼段階で逆火現象(フラッシュバック)による爆発事故が起きやすく、高濃度の窒素酸化物を排出する。これを解決するためには燃焼方式の刷新が必要なことと、さらに弊社では浙江省能源集団(Zhejiang Provincial Energy Group)と共同で純水素の燃焼実験台や完成機用テストベンチを構築し、製品の可用性を検証している」とも述べた。

高濃度窒素酸化物の排出を減らすため、慕帆動力が採用する純水素ガス・水素混合ガス燃焼技術は乾式除去法で窒素酸化物の排出を削減し、排ガスの脱硝(触媒を用いた窒素酸化物の無毒化)も不要としている。

燃料として使用する水素は、高圧水素、液体水素、有機ハイドライド、液体アンモニア、メタノールなどさまざまなかたちで長期貯蔵できる。慕帆動力が開発・製造する水素ガスタービンはこれらのすべてに対応できるという点でも優位性を持つ。

林CEOは「燃料電池は99.99%以上の高純度の水素を必要とするが、我々の製品は水素の純度を問わないため、燃料費の面では大きな強みを持っている」と強調する。ガスタービンはもともとが熱電気の利用効率が高く、稼働と停止の切り替えが柔軟にできるため、太陽光や風力といった再生可能エネルギーのピークシフトにも活用が可能だ。
(翻訳・山下にか)

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