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新エネルギー車の世界最大の市場は中国だ。中国公安部の統計によると、今年6月末時点で中国の新エネルギー車保有台数は1001万台で、引き続き急速に増えている。新エネルギー車が増えることで、使用済みの駆動用バッテリーの市場も直接的な影響を受け、規模が拡大している。
新エネルギー車に搭載される駆動用バッテリーの「引退後」を予測する研究結果が、今年7月に開催された「2022年世界動力電池大会(World EV&ES Battery Conference)」のサブフォーラムで発表された。向こう5年で使用済みとなる駆動用バッテリーは年平均で重量16万トン、容量20〜30ギガワット時(GWh)となり、2026年には累計で重量92万6000トン、容量142.2ギガワット時になると予想している。
駆動用バッテリーのカスケード利用(資源やエネルギーの段階的再利用)には安全性や経済性などさまざまな不確定要素が拭いきれないが、バッテリーの分解・回収分野は各方面が注目しており、一気に成長をはじめる兆しもある。
北京市の企業「賽徳美資源再利用研究院(Saidemei Resources Recycling Research Institute)」(以下、賽徳美)は新エネルギー車向け駆動用バッテリーのリサイクル業界が秘める巨大なポテンシャルに着目し、2016年1月に設立された。廃バッテリーの回収・解体を高い精度で行い、取り出した材料やパーツを再利用する事業を主としている。廃バッテリーの全パーツを物理選別する技術を初めて編み出し、さらに独自の全自動生産ラインも開発。現在、廃バッテリーの90%以上のパーツを回収できるようになっている。先日は復星鋭正資本(FOSUN RZ Capital)が主導するシリーズAで数千万元(数億〜十数億円)を調達した。
バッテリーリユースの方法で現在主に用いられているのは乾式精錬法、湿式精錬法、物理選別法などだ。賽徳美が採用する方法は物理選別法と材料修復技術で、まずは高精度な解体作業を全自動で行い、廃バッテリーから正・負極材料、セパレーター、電解液、金属などを選別。選別した正・負極材料は材料修復技術を用いて成分調整、高温焼成による固体化が行われ、最終的には粉体化される。
賽徳美の採る回収方法は乾式精錬法、湿式精錬法と比較して再生利用率や環境保護の面で大きな優位性を持つ。使用済みセパレーターや電解液はたとえ回収できたとしても再び駆動用バッテリーの再製品化に用いることは一般的に難しいが、材料としてリユースすることはでき、これらをきちんと回収することはリサイクル過程で生じる環境へのリスクを取り除くことにもつながる。
環境保護の観点から見ると、乾式精製法は高温焼成のプロセスで有毒ガスを生じることや、エネルギー消費が多いことからリサイクルの効率としては低い。湿式精錬法も同じく、化学薬品の連続使用は土壌や水源に大きな脅威を与える可能性があり、さらに生産プロセスが長いため生産・加工コストも高くなる。そのため、一線・二線都市の企業では環境評価基準をクリアして乾式・湿式精錬法を採用できるケースは少なくなっている。
物理選別法と材料修復技術を用いる方法は、焼成過程や酸・アルカリなどの添加剤を必要とせず、少ない投資で高い環境保護効果が得られ、一線・二線都市の環境保護法が定める基準をクリアできるため、スピーディーに大規模化できるという独自の強みがある。
賽徳美はすでに多くの自動車メーカー、自動車ディーラー、バッテリーメーカー、新エネルギー車運営企業、自動車解体業者などと戦略的提携関係を築いており、安定的な廃バッテリーの供給源を確保している。
近年は車載バッテリーのリサイクル企業が徐々に増えており、「格林美(GEM)」「邦普循環科技(Brunp Recycling Technology)」など比較的大規模な企業も誕生している。市場競争に関し、賽徳美の趙小勇会長は「業界はまだ形成されておらず、短期的には真の意味での大手企業や独占企業が誕生することはないだろう。我々は競争を恐れていない。競争なき業界は不健全だ。賽徳美には独自の技術と優位性がある」と述べている。
賽徳美は天津に自社工場を有しており、第1期部分では年間生産力1万2000トン、第2期部分では5万トンに達する。今年から来年にかけては広東省、江蘇省、重慶市などに新工場を建設する計画だ。
(翻訳・山下にか)
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