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グローバル社会がデジタル経済へと移行していくなか、基盤となるデータセンターの規模は急激に拡大しており、それに伴うエネルギー消費が業界の大きな関心事となっている。この問題に着目したスタートアップ「雲創遠景(Quarkdata)」は、AIを搭載したエッジコントロールシステム「Deep Cooling」を開発し、データセンターやオフィスビルなどのエネルギー利用を最適化して、20~25%の省エネ効果を実現している。
『中国新インフラ発展研究報告』によると、2025年には世界のエネルギー消費のうち、データセンターの占める割合が最も大きく、33%に達すると予想されている。中国では全国のデータセンターの電力消費量は8年連続で12%以上の伸びを示しており、社会全体の電力消費量に占める割合は今後も増加していくとみられる。
雲創遠景は最先端のAI技術とエッジコンピューティングを活用し、エネルギー利用の最適化を進めている。同社によると、データセンターの冷却は膨大なエネルギーを必要とし、一般的な冷却プロセスの消費電力はデータセンター全体の40~45%を占めるという。
大規模なデータセンターの冷却システムでは一般的に中央熱源方式がとられ、サーバ室内に設置された空調機により集められた熱は、屋外設備が空冷式や外気を利用して処理し排出される。
このような冷却システムは環境のモデリングを行っておらず室温を26度から24度に下げるためにどれほど放熱する必要があるかといったデータが不明瞭だった。さらにこのような空冷方式では設備の演算能力に限界があり、モデリングや予測制御に必要な演算能力を満たすことが難しい。
雲創遠景はDeep Coolingソリューションにインテルのマイクロプロセッサ「Xeon」やGPUによる汎用計算(GPGPU)を採用し、演算能力の問題を解決した。さらにニューラルネットワークのモデリング技術を活用することで、現場の熱システムの調整をわずか数ミリ秒で完了できるようにした。Deep Coolingはデータセンターの1~2週間の環境を元にモデリングを行い、気温や湿度、空調の稼働状況を把握して、制御項目ごとに最適なパラメータを導きだす。これにより、冷却システムの消費電力を20~25%削減することができる。
市場展開においてまずターゲットにしているのはデータセンターだ。車載電池大手の寧徳時代(CATL)や中国パネル大手の京東方(BOE)、インテルなどハイエンドの精密製造工場が中心で、市場規模は100億元(約2000億円)以上。もう1つのターゲットは、ビルや商業施設、工業団地など大型建築物で、将来的には1000億元(約2兆円)規模の市場になると見込まれている。すでに中国三大通信キャリア(中国電信、中国移動、中国聯通)、税務局・税関などの政府機関がこのソリューションを導入している。
海外市場では強力な提携パートナー2社を迎えた。1社はデータセンターなどの仮想化ソフトを提供するグローバル企業VMware、同社の販売チャネルを通じて海外市場を開拓している。もう1社はインテルで、ハードウエアの生産や設計において協力している。インテルはまた雲創遠景の顧客でもあり、小規模データセンターのエネルギー消費を改善するためにDeep Coolingを活用している。
雲創遠景によると、現時点でビルの自動制御やハイエンド産業制御の市場は海外企業にほぼ独占されている状態だという。同社は国内の自動制御大手と協力して、機械学習関連技術と強力な演算能力を持つエッジデバイスのプラットフォームを統合し、国産ソリューションの実用化と普及を目指す。現在はシリーズAの資金調達に向けた準備が進んでいる。
(翻訳・畠中裕子)
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