安全・快適なスマートカー目指しステアリング技術を開発 中国「徳科智控」が12億円調達

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安全・快適なスマートカー目指しステアリング技術を開発 中国「徳科智控」が12億円調達

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スマートカー向けステアリング技術を開発する「徳科智控(DECO Automotive)」がシリーズBで約6000万元(約12億円)を調達した。出資したのは前海鵬晨訊達(Qianhai Pengchen Xunda Fund)、蘇州趨勢一号(Suzhou Trend 1 Venture)など。今回の資金は主に電動パワーステアリング(EPS)とステア・バイ・ワイヤー(SBW)システムの製造拠点建設や主要製品の研究開発、人員の採用に充てられる。

自動車のスマート化が進むなか、音声制御やコックピット、自動運転などAIを活用する分野での起業が脚光を浴びている。しかし自動車がスマート化されれば、ブレーキやステアリングのアクチュエーターもそれに応じてレベルを上げる必要があることを忘れてはならない。その基本となるのがEPSとSBWだ。

現在のEPSでは、ステアリングホイールと転舵ユニットが機械的につながっており、物理的空間や力と角度を伝達する機能などの制限があるため、自由な設計は難しい。しかしSBWシステムは電気信号が操舵の指示を伝えるため、ステアリングホイールと転舵ユニットはつながっていない。そのためステアリングの機動性が高くなり、より自由な車体設計が可能になる。

レベル4やレベル5の高度自動運転では、人に代わってロボットがステアリング操作をする。自動運転の安全性を確保するため、SBWに代表されるシャシーのアクチュエーターには冗長設計を適用し、システムが機能しなくなると即座に予備システムに切り替えることが必要とされる。徳科智控では2系統のチェックメカニズムを採用しており、システムに異常が生じると100ミリ秒のうちに予備系統に切り替わるという。鄭星美副総経理によると、同社のSBWは2025年ごろに有名自動車メーカーの新エネルギー車に搭載され実用化する見込みだ。

自動車のスマート化技術(徳科智控提供)

徳科智控はスタートアップ企業としては比較的古く、09年に設立された。主にEPS製品の開発に取り組み、11年からは軍用車の無人運転用EPS開発で軍と協力している。こうした特殊車両のクライアントから得た十分な開発資金に同社の発展は支えられ、技術を蓄積することができたという。

また、徳科智控にとってEPS製品は安定した収入源となっている。新エネルギー車のほか全地形対応車や特殊オフロード車、フォークリフト、四輪バギー、大型芝刈り機などにも導入され、商用車では福田汽車(Foton Motor)や東風汽車(Dongfeng Motor)、同鈴汽車科技にも製品を提供している。

EPSシステムについては、自動運転レベル4向けバイ・ワイヤーの冗長化アルゴリズムを含め、レベル2~4向けバイ・ワイヤーのハードウェアプラットフォームだけでなく、ステアリングシステムのデバイス、アルゴリズム、センサー、モーターの4つのコア技術を持ち、SBW、EHSBW(電動油圧式ステア・バイ・ワイヤー)、EPS、EHPS(電動油圧式パワーステアリング)を主要4製品としている。

徳科智控が目指すのは乗用車の無人運転用SBW技術の開発だ。

そこで最初に取り組んでいるのが、人と機械の共同操舵における触覚(ハプティック)シミュレーションだ。これまでのステアリングシステムは機械的に全体が連携していたため、路面状況はドライバーの手に感覚として伝わっていた。しかしSBWは機械的なつながりがなく電気信号で制御されるため、中間に感覚シミュレーターをはさんで路面やタイヤから受けた反力をドライバーに伝え、車両の操作安定性と操舵快適性を向上させる必要がある。

現在のボトルネックはステアリングホイールにつながるシミュレーターだが、開発には自動車メーカーとステアリングホイールメーカーとの協力が必要だ。また細やかでリアルなシミュレーションを実現するには、さまざまな路面状況のデータを蓄積する必要がある。こうしたデータを徳科智控のようなステアリング技術を持つ企業に渡し、ステアリングアクチュエーターを使用した実際のデータと合わせ、アルゴリズムを通じて最終的にシミュレーターのモーターを制御し、ドライバーの手に有効な感覚を伝える。

現在触覚シミュレーターを製造しているのはごく少数の世界的メーカーに限られている。こうした現状を打開するため徳科智控は積極的に研究開発に取り組んでおり、23年のうちに製品を発表する計画だ。

触覚をシミュレートするアルゴリズムを開発する難度は高い。大量の走行テストとアルゴリズム開発の優れた人材を必要とするため、今後調達する資金はこうした方面に投じ、自動車メーカーや業界全体から人材を呼び込みたいとした。

自動車部品のなかでも、ブレーキとステアリングなどのアクチュエーターについてはボッシュや独コンチネンタル(Continental AG)など世界的なTier1(一次サプライヤー)が優位な状況だ。しかし中国において国産品で代替しようとする動きが高まり、スマートEVの開発が盛んになったため、国内部品メーカーにもチャンスが訪れた。自社の技術、安定した供給能力、コストと効率の良さという利点を生かして、徳科智控はスマートEV業界の一角を占める勢力になることを目指している。
(翻訳・36Kr Japan編集部)

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