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バーチャルヒューマンを手がける「慧夜科技(Huiye Technology)」がプレシリーズA+で数千万元(数億〜十数億円)を調達した。出資を主導したのは高瓴創投(GL Ventures)で、シャオミ(Xiaomi)創業者が設立した順為資本(Shunwei Capital)も出資に参加した。
慧夜科技はバーチャルビーイング(気持ちの通った双方向の関係をユーザーと構築できる架空のキャラクター)に関するAI駆動型の技術サービスを提供する。「ジェネレーティブDNN(ディープニューラルネットワーク)のフレームワーク」を作り上げ、バーチャルキャラクターはこのフレームワークに基づいて人の運動モデルを簡単なものから複雑なものまで学ぶ。モーションキャプチャリング(動作の記録)のための「中の人」が必要なく、例えばシステムに楽曲の一節を入力するとバーチャルキャラクターが音楽に合わせて自動的に踊り出す。創業者の渠思源氏はこれを「人とコミュニケーションを取り、パフォーマンスをする能力をバーチャルヒューマンに与えるための」ソリューションだと説明する。
アニメーション制作には従来、専門のアニメーターやソフト、機器などが必要だった。また、リアルな人間のモーションキャプチャリングをするには専門の「中の人」が必要だった。しかし、AIを使ってコンテンツを生成する「AIGC(AI Generated Content)」ならば、バーチャルコンテンツ制作のハードルが大きく下がる。
「我々がターゲットとするのは、バーチャルコンテンツを完全に自主制作できる能力をまだ持たないクリエイターだ。彼らが我々のプロダクトを使えば、基礎的あるいは複雑な3Dモーションのコンテンツを制作できるようになる。ダンスの動作を例に取ると、音楽をシステムに入力すればバーチャルヒューマンのダンスパフォーマンスができあがる」。渠氏はこう述べた。
ただし、AIGCがこれまでのアニメーション制作やリアルな人間によるモーションキャプチャリングに単純に代替するわけではないと渠氏は補足する。「単純に効率面で比較すれば、確かにリアルの人間とAIを同等に語ることはできない。AIは2000曲からただちに2000パターンのダンスコンテンツを生成できる。これをリアルな人間でやるには2〜3年かかるだろう。こうしてみるとAIが勝っているように感じられるが、専門的なアニメーション制作はそもそもがスタッフによる芸術的処理が必要で、AIには芸術的な理解が求められるアクションが難しい。両者は単純比較することはできない」とした。
慧夜科技はすでにブラウザー版のAIGCツールを公開し、試用が可能になっている。ビジネスモデルとしてはバーチャルヒューマン制作を必要とする企業向けの展開を想定する。渠氏はこれを「AI being as a service」と定義した。同時にDJ、フィットネスインストラクター、ブランドアンバサダーなど同社オリジナルのバーチャルヒューマンもリリースしている。
今年は顧客の需要に基づいてAIによるモデリング支援や自動バインディング(関連付け)機能、カメラワークの自動化による視覚エフェクト処理などを包括する技術スタックを展開。バーチャルモデルのショーでのウォーキングや、バーチャルヒューマンによる商品プレゼンテーションなど動作のアルゴリズムを最適化させた。
「実際に使っていく中で、バーチャルヒューマンをただ動かすだけでは足りないことがわかった。慧夜科技は現在、需要を取り込んでプロセスを磨き上げるためにトップクラスの顧客の多くと提携している」。渠氏はその一例として、レディースシューズブランド「百麗(BELLE)」との提携を挙げ、バーチャルヒューマンがプレゼンする靴を変えるたびに、専門スタッフが新たに靴のモデルとバーチャルヒューマンをバインディングし直さなければならないことに気づいたと述べた。これをきっかけに慧夜科技では自動バインディングのアルゴリズムを開発したという。
慧夜科技には清華大学、武漢大学、バイトダンス(字節跳動)、アリババ出身の研究員や中国美術学院、清華大学美術学院、湖北美術学院出身のクリエイターが所属する。これまでに前出の百麗をはじめ、BMW、アリババ傘下のフィンテック企業アント・グループ(螞蟻集団)、カラオケアプリStarmakerなどにAI being as a serviceのプロダクトを提供してきた。
(翻訳・山下にか)
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