3Dプリント用材料「Polymaker」、20億円以上を調達 世界トップブランド目指す

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3Dプリント用材料「Polymaker」、20億円以上を調達 世界トップブランド目指す

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3Dプリント技術の応用範囲は幅広く、ポテンシャルは高い。市場規模は拡大を続けており、ある業界団体の予測では、世界市場は2025年に477億ドル(約7兆1300億円)に、中国市場は635億元(約1兆3100億円)にまで成長する見込みだ。そのおよそ3分の1をプリント材料が占め、数百億元(数千億円)規模の市場となっている。

3Dプリント材料の有名ブランド「Polymaker」を擁する中国の「聚復科技(JF Polymers)」がこのほど、新たに1億元(約20億円)以上を調達した。出資を主導したのは賽天資本(SKYTRACE CAPITAL)で、株主の協立投資(SHARELINK CAPITAL)やIDGキャピタルなども出資に参加した。

Polymakerは12年に設立され、本社は江蘇省蘇州市。他にも上海・北米・欧州に子会社を持つグローバルサプライヤーだ。熱溶解積層方式(FDM、FFFなど)の3Dプリントに使われるフィラメントの開発・生産に特化し、コンシューマー用、プロフェッショナル用、工業用の3種類を展開。自動車・航空宇宙・製造・医療・建築・消費などの分野で用いられている。

3Dプリント材料は3Dプリント産業の川上に属し、川下でのアウトプットを左右する重要な要素だ。材料の種類の豊富さは、3Dプリント機器が発揮する応用力に直接影響する。

Polymakerを共同創業した羅小帆総裁は「3Dプリント材料専門サプライヤーとしてのPolymakerのコアコンピタンス(中核的競争力)は、主に技術と規模の2つに現れている。技術面では材料の印刷適性(印刷材料が良好な刷り上がりになる性質を持ち合わせること)、機能性、応用力、持続可能性の4つに価値が体現されている」と述べる。

3Dプリントの応用シーンが拡張したため、Polymakerは顧客側の需要に応じ、印刷適性を確保しながらさらに製品の機能性や応用性を高め、材料の力学機能や耐候性、美しい質感などを最適化。3Dプリントの利用体験を向上させ、さらにプリンターとの相性テストやテクニカルサポートなどのソリューションを顧客に提供している。

関連資料によると、PolymakerはPLA(ポリ乳酸)のノズル詰まりを防止するJam-Free技術、積層痕を抑えるLayer-Free技術、耐衝撃強度を大幅に高めるナノ増強技術など、材料の機能性を向上させる複数の特許技術を有し、材料を改良することで完成品の質をダイレクトに高めている。Jam-Free技術を例にとると、材料の結晶化度を上げることでPLAフィラメントの軟化温度を60℃から140℃に上げ、ノズルの問題を根本的に解決する。

Polymakerの製品

持続可能性については主に製品性能を重視し、サプライチェーンを短縮させる新たなビジネスモデルや3Dプリントで生じた廃棄物のリサイクルなど、持続可能な発展を目指せる方向性を最適化していく。

事業規模については、そもそもがスケールメリットへの依存度が高い業界であるため、オムニチャネル戦略を採る。熱溶解積層方式3Dプリント材料をフルカバーするソリューションベンダーとして自社を位置づけ、全業界からもニッチ業界からもニーズを世界規模で吸い上げて製品ラインナップを継続的に充実させていく方針だ。羅総裁によると、熱溶解積層方式3Dプリントの応用シーンにおける需要の80〜90%をすでに満たせるほどの製品を揃えているという。

販売については主に個人消費者、販売代理業者、プリンターメーカー、エンドユーザーをターゲットとしている。生産力については、数十種類のプリント材料を取り扱うため、100種類以上もの異なる配合で製品を生産し、年あたり数千トン規模を出荷している。

今回出資に参加したIDGキャピタルは、3Dプリント業界が向こう20年は著しい成長を続け、材料の需要が拡大すると見る。Polymakerについては、熱溶解積層方式3Dプリント材料メーカーとして世界をリードする企業であり、創業時からすでに世界的視野を持ちグローバル展開を念頭に置いていたと評価している。コアメンバーは総合力に優れ、イノベーション力が突出している点も指摘し、Polymakerが現在すでに有している強みをさらに確かなものとして世界の3Dプリント材料業界のトップブランドになるだろうとの期待を寄せた。
(翻訳・山下にか)

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