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膜電極接合体は、固体高分子形燃料電池で電気化学反応を起こす「心臓部」であり、燃料電池システムのコストのうち約36%を占める。技術的なハードルが高く、以前は主に輸入に頼っていた中国では、この2年ほどで国産化が進んできた。ある研究報告は、2022年には膜電極接合体の国産化率が60%に達すると予測する。
2017年12月に設立された「鴻基創能科技(SinoHyKey Technology)」は、中でも特に秀でた企業だ。公式サイトによると、中国で最初に固体高分子形燃料電池の膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)の大規模な産業化に成功したという。同社の技術チームを指揮するのは、固体高分子形燃料電池を開発するカナダのバラード・パワー・システムズでチーフサイエンティストを務めた葉思宇氏で、他にも北米や中国の燃料電池のエキスパートがチームに加わっている。
鴻基創能がこのほど、シリーズBで約3億元(約61億円)を調達したと発表した。調達前の評価額は約30億元(約610億円)で、前回のラウンドから倍増した。今回の資金調達では多くの投資機関が出資の意向を示し、地元広東省の国有ファンドを含む10あまりの機関が参加した。多額の出資を希望した機関もあったが、最高でも3000万元(約6億円)ほどと、出資比率は分散させたという。
本ラウンドは鴻基創能が上場企業「美錦能源(Meijin Energy)」の傘下に入ってから2度目の大規模調達となった。2019年、美錦能源が45%出資する関連会社「鴻錦投資」が鴻基創能に1億200万元(約20億円)の増資を行い、鴻基創能の51%の株式を取得。2020年には美錦能源がそのうちの22.95%を取得し、大株主に名を連ねるようになった。
鴻基創能は年末にも新たな資金調達を計画しており、独自動車部品大手ボッシュと国有石油大手の中国石油化工(Sinopec)の参加がすでに確定している。
鴻基創能は2021年に100万枚の膜電極接合体を生産し、今年はさらに倍増すると予想される。現在、1日の生産能力は2万4000枚以上で、歩留まり率は99.4%。建設中および計画中のプロジェクトもあり、膜電極接合体の生産能力は国内トップレベルの年1000万枚に達すると見込まれている。
十分な収益力も備えている。美錦能源が発表した財務データによると、鴻基創能に対する持分法投資損益は2021年が751万8700元(約1億5000万円)、今年上半期は77万4200元(約1600万円)だった。
ここ1、2年、政策の後押しを受けて水素エネルギーや燃料電池産業の実用化が進んでいる。中国汽車工業協会が発表したデータによると、中国における今年1~9月の燃料電池自動車の生産台数は前年同期比170.7%増の2374台、販売台数は同130.7%増の2092台だった。
川下のニーズ増大に伴い、鴻基創能などの中核部品を生産する企業が急成長のチャンスを迎えている。しかし一部の燃料電池システム開発企業が独自の膜電極接合体の開発に乗り出したり、新たなプレーヤーが数多く現れたりするなど、国内市場に参入する企業は増加傾向にある。
さらに海外の大手企業も中国進出に動き出した。固体高分子形燃料電池における世界的リーディングカンパニーのバラード・パワー・システムズは、このほど上海市嘉定区安亭鎮人民政府と投資協定を結び、中国本社や膜電極接合体生産工場、研究開発センターの建設を予定している。本格的に始動すれば、中国の膜電極接合体産業にとって大きな試練となるだろう。
(翻訳・畠中裕子)
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