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AI(人工知能)を利用して絵画やアート作品を生み出す「AIアート」が、消費者の間で急速に広がっている。中国版インスタグラムと呼ばれるSNS「小紅書(RED)」やTikTok中国版「抖音(Douyin)」など人気プラットフォームでは、にわかに大量のAIアート作品が登場している。
なかでも注目を集めているのが、数カ月前にリリースされた画像生成ツール「盗夢師(Printidea)」だ。このツールを開発したのはAIGC(AI生成コンテンツ)を手がける「西湖心辰(Westlake Xinchen)」で、新しい研究型学術機関である西湖大学の力を借りながら、自然言語処理などにおける研究成果の実用化や製品への応用に注力している。2021年に設立され、同年末にはエンジェルラウンドで1000万ドル(約13億4000万円)近くを調達した。
西湖心辰がAIGC分野で最初に手がけたのはAIアートではなく、タイトルやキーワードで文章を自動生成するテキスト生成ツール「Friday AI」だった。現在、企業数十社がこのツールを利用しており、盗夢師の法人向けビジネスの基礎にもなっている。
盗夢師を開発した藍振忠氏は、「拡散モデル(Diffusion Model)」という新しい生成モデルが登場したことで、AIアートの生成スピードが飛躍的に向上し、この分野でサービス投入の実現可能性が見えてきたと語る。盗夢師は公開わずか数カ月で100万人近いユーザーを獲得した。
目指すはより大きなAIGCプラットフォーム
スタートアップ企業でユーザー100万人というのは、中国のAIアート業界でも間違いなくトップクラスだ。現在、国内外を問わず多くのAIアートツールは、GPUのコストや技術的な制約からコミュニティやテスト段階にとどまっており、1日に生成できる画像の枚数や利用可能なユーザー数に上限があるが、盗夢師は公開初月にユーザー20万人が利用できる環境を実現した。
藍氏によると、AIアートはAIテキスト生成と同様、大規模なモデルと高い演算能力を必要とするが、GPUのコスト問題がAIGCの初期開発における大きな課題になってきたという。この点、Friday AIの技術的な蓄積のおかげで、盗夢師はいち早く消費者に公開し、市場ボーナス期の恩恵を受けることができた。
また画像生成速度や効率の向上も大きな強みとなっている。「これほど多くのユーザーに満足のいく体験をしてもらうためには、演算速度を数秒以内に抑えて、単位時間内にできる限り多くのユーザーにサービスを提供する必要がある」。
盗夢師は、個人ユーザーには主に国民的SNS微信(WeChat)のミニアプリ(ミニプログラム)として提供されている。ユーザーは「待つのが苦手」なため、画像生成速度がユーザーの満足度や定着率に大きく関わってくる。現在、このツールのアルゴリズムやサービスはいずれも成熟しており、画像の出力速度は理論値で業界トップクラスとなる1枚当たり0.8秒を実現した。
すでに公開されているテキスト生成ツールや画像生成ツール以外に、西湖心辰ではテキストから動画を生成するツールの開発も進めている。これはAIGC業界がいま最も注目している技術分野だ。
「短期的には、誰もが遊べるツールを作りたい」と藍氏は語る。長期的には、いずれ盗夢師が一つのコミュニティとなり、アートやデザインなどそれぞれの分野で探求を深める場になることを目指しているという。「誰でもここに来て交流したり、絵を学んだりできる。好きなものを描くだけでなく、自分だけのモデルを作り上げることも可能になるだろう」。
(翻訳・畠中裕子)
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