中国IT大手テンセント、投資減速。22年は7割減の90件に、8年間で最低

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中国IT大手テンセント、投資減速。22年は7割減の90件に、8年間で最低

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中国IT大手のテンセントは積極的な投資戦略で知られており、2021年に行った海外投資は301件に上った。平均して1.2日に1件投資したことになる。しかし、このアグレッシブな投資スタイルは22年には影を潜めた。

企業情報検索サイト「天眼査(Tianyancha)」によると、テンセントの海外投資は2022年末時点で90件と、21年より70%以上減少し、この8年近くで最低になった。テンセントの年間投資件数が100件を割ったのは、15年以来初めてだ。

テンセントはどんなプロジェクトに興味を示さなくなり、どういうプロジェクトに関心があるのか。テンセントが2022年に行った90件の投資から業界の風向きや企業の成長をみてみよう。

投資=海外進出

中国のインターネット大手は2022年、相次いで海外市場に投資した。バイトダンス(字節跳動)傘下のTikTokは22年10月にデイリーアクティブユーザー数が世界で10億人を突破したほか、米モバイルアプリ調査会社「Sensor Tower」によるとソーシャルEC大手「拼多多(Pinduoduo)」が北米で運営しているECサイト「Temu」は22年9~12月の4カ月でダウンロード回数が1000万回を超えた。アリババは傘下の海外向けECサイト「アリエクスプレス(AliExpress、全球速売通)」、東南アジア最大級のECプラットフォーム「Lazada(ラザダ)」、物流プラットフォーム「菜鳥網絡(CAINIAO)」の国際物流を通して越境 ECビジネスを拡大させている。

一方、テンセントはゲームが稼ぎ頭だ。22年7~9月の売上高は1401億元(約2兆6800億円)、うち海外市場のゲーム売上高が117億元(約2200億円)で8.35%を占めた。テンセントは主に投資の形で海外市場に進出する。22年は全体的に投資のペースが落ちたが、海外プロジェクトの割合は21年の19.27%から22年は48.89%に急増した。

公表している海外投資プロジェクトは44件に上り、アジア、欧州、アフリカ、オセアニア、北米の25の国にわたる。

ゲームはテンセントが海外で最も注目する分野であり、22年には44件の海外投資のうちゲーム業界への投資が12件だった。投資先はすべて代表作を持つ成熟した開発企業で、その多くが戦略的出資、エクイティファイナンス、M&A(合併・買収)となっている。

2022年9月には、仏ゲーム大手「ユービーアイソフト(Ubisoft Entertainment)」の持株会社「Guillemot Brothers」に3億ユーロ(約420億円)出資し、ユービーアイソフトに対する直接的な持株比率を4.5%から9.99%に引き上げた。メタバースブームの下、カナダのゲーム会社「Offworld Industries」と「Inflexion Games」にも投資した。

テンセント、海外ゲーム会社のM&Aを加速 

一方、中国のゲーム市場への投資は2022年にはほぼ皆無だった。21年は64社に投資していた。

ゲームのほかに、テンセントが海外で注目しているのはキャッシュレス決済だ。2022年には海外で少なくとも4社のキャッシュレス決済の会社に投資した。イタリアの2社およびフランスとインドネシアの各1社だ。また、イギリス、フィリピン、デンマークにあるインターネット金融3社にも投資している。

長期志向の投資

テンセントの法人向けサービスへの投資は21年に急増した。2015年の5件から21年には70件に増加し、年間投資件数の23.3%を占めた。法人向けサービスは22年もテンセントの主な投資対象の一つとなり、関連企業19社に投資し、年間投資件数の21.1%を占めた。

中国の消費者向け製品は、テンセントの2022年投資リストから消えた。消費者向け製品はかつてテンセントに巨額のリターンをもたらしたが、22年には持ち株売却の対象になった。21年末から「JDドットコム(京東集団)」の持ち株を減らしたほか、22年初めに東南アジアの大手EC「Shopee」の親会社である「Sea」、22年末には生活サービス大手「美団(Meituan)」の持ち株を減らした。特に中国では消費者向け事業の急成長が見込めないことは容易に想像できる。

一方、最も成長している投資分野はスマート・マニュファクチャリングだ。テンセントは2022年、少なくとも関連企業12社に投資した。うち9社は中国にあり、8件はシリーズB以下の投資ラウンドだった。

別の成長著しい業界は医療・ヘルスケアだ。テンセントは2022年に少なくとも10社の医療・ヘルスケア企業に投資しており、抗体医薬品を研究する「丹序生物(SINGLOMICS)」、治療用たんぱく質の設計に多重定量を用いる米バイオテック企業「Manifold Bio」、マイクロバイオーム治療を研究開発する英「Microbiotica」などが含まれる。

「硬科技」と呼ばれるハードウエア&コア・テクノロジー分野では、核融合技術を開発する英「First Light Fusion」に投資した。同社は慣性閉じ込め核融合技術を利用して発電を行っている。テンセントは2022年2月、First Light Fusionが4500万ドル(約58億3000万円)を調達したシリーズCに参加した。

総合すると、テンセントの投資件数は2022年に減少し、投資先はハードウエア&コア・テクノロジーや利益確保に時間を要する業界に移行したことがわかる。

テンセント、本業ささえる投資力。10年ぶり減益でも悲観少なく

作者:WeChat公式アカウント「刺猬公社(ID:ciweigongshe)」

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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