急速充電チップ開発の「地芯引力」が資金調達、スマホ以外にも広がる用途に期待

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急速充電チップ開発の「地芯引力」が資金調達、スマホ以外にも広がる用途に期待

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IC設計・開発を行う中国スタートアップ企業の「地芯引力(GeoforceChip)」がこのほど、シリーズBで2億元(約38億円)近くを調達した。今回の資金調達を受けて、同社では研究開発スキルをさらに蓄積し、特許技術の優位性を生かしながらミドル・ハイエンド市場での商機を探り、産業やエネルギー貯蔵、新エネルギーなどの分野における事業展開を進めるという。

地芯引力は2019年設立、世界的な競争力を持つハイブリッドICの設計を手がける。同社の製品ラインは急速充電が可能なPD規格対応(30W)、ワイヤレス充電Qi規格対応(5W、15W)、オーディオ、バッテリー管理の4つで展開している。

現在、スマートフォンメーカーが充電器の同梱を徐々に取りやめているため、サードパーティー製の急速充電器市場が急成長している。メーカー純正品市場でも、急速充電器に対するスマホメーカーの姿勢が前向きになってきている。ユーザーの使用時間が延び、ディスプレイの性能向上により消費電力が増加したことで、スマホメーカーもユーザーのより良い充電体験を模索し、高出力の急速充電器をリリースする必要に迫られているのだ。

証券大手の国泰君安証券が発表した2021年の調査報告書によると、中国EC大手の淘宝網(タオバオ)ではAnker(アンカー)やBaseusなどサードパーティー製の20W・PD対応充電器の月間販売量が1万個を超えており、チップの需要も急増していることが示されている。また市場調査会社・智研諮詢のデータによると、バッテリー管理IC市場は22年に180億ドル(約2兆3400億円)に達し、16年から20年までの年平均成長率は3.6%だったという。

急速充電市場だけでなく、ワイヤレス充電市場も急成長を遂げている。特にワイヤレス充電機能を備えたiPhone Xが2017年に発売されてからは、アップルに続きアンドロイドスマホのメーカーもこぞってワイヤレス充電機能を追加するようになった。またさまざまな分野で「電化」が進むなか、ワイヤレス充電や急速充電などの新しい充電方式も、スマホなどの電子機器から、家電やエネルギー貯蔵、医療など新たな分野へと徐々に広がりつつある。

市場調査会社Research and Marketsは、電動自転車のワイヤレス充電市場が2025年までに4億700万ドル(約530億円)に成長し、20~25年の年平均成長率は117.56%に達すると予測している。

地芯引力で資金調達責任者を務める王奇峰氏によると、同社製品の応用シーンはスマホ、タブレットPC、ドローンなど消費者向け電子機器の分野から、電動工具、スマートホーム、医療用電子機器、屋外用蓄電装置などの分野にも浸透しつつあるという。設立から4年の間に同社は累計4億個以上のチップを出荷し、2022年に入ってからは出荷量が倍増した。

チップ設計会社という観点では、地芯引力には独自の強みが3つあると王氏は語る。成熟した運営経験、15年にわたるデジタルチップの量産経験、通信プロトコルに関わる深い技術の蓄積だ。さらに、顧客が納品後すぐに利用できる「ターンキーソリューション」を提供するため、アナログIPの蓄積も進めている。

2022年末時点で、地芯引力が出願した特許は100件を超えている。創業者によると、同社は製品のコア技術に関連する研究開発プロセスごとに特許を申請するという特許戦略を採用している。

(翻訳・畠中裕子)

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