7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録
1月に米ラスベガスで開かれた世界最大のテクノロジー見本市「CES 2023」では、メタバースブームを受けて、XR(クロスリアリティ)関連の出展が特に目立っていた。Magic Leap、Vuzix、ソニーなどのXRデバイスが展示されるなか、中国TCL傘下のARスタートアップ「雷鳥創新(Thunderbird Innovation)」のブースも熱気に包まれていた。
雷鳥創新は今回のCESで最新のARグラス「RayNeo X2(雷鳥X2)」を展示した。このARグラスの最大の特徴は、マイクロLEDと回折光導波路を使用した光学ディスプレイを採用し、双眼フルカラー表示を実現したことだ。また自己位置推定とマッピング(SLAM)機能も搭載している。クアルコムのSnapdragon XR2プラットフォームや1600万画素のイメージセンサを採用しており、没入型の英語学習やスマート翻訳、ナビゲーション、通知、クイック撮影などが利用できる。
4日間のCES会期中、RayNeo X2を体験しようとする人の列が絶えなかった。さらにAndroid Authority、Yanko Design、Tech Radarなど複数のメディアから「Best of CES 2023」に選出されている。
究極のARグラスを目指して
多くのメーカーはARグラスの光学設計で妥協し、光学エンジン「Birdbath」や単色光導波路方式を採用していると雷鳥創新の李宏偉CEOは指摘する。より高度なフルカラー光導波路方式と比べると、BirdBathを使ったディスプレイは画質がよく、サプライチェーンが成熟しているが、現実の風景にバーチャル情報を重ねて表示することができない。緑色単色の光導波路ディスプレイは輝度が高いものの、1色しか表示できない。片目のみの単眼ディスプレイは双眼タイプに比べ技術難度が下がるが、3Dには対応できず、本当の意味でのARディスプレイとは言えない。
では、真のARグラスとはどのようなものだろうか。李CEOは、高輝度、薄型軽量、全天候型、リアルとバーチャルの融合という4つの条件を挙げた。究極のARグラスを作るには回折光導波路、マイクロLED、AR位置特定の全てを採用した方式が理想的だという。
しかし現在の技術レベルでは、この要素全てを同時に満たすことはできない。目の近くに装着する製品は、重心やサイズ、重さなどの条件が厳しく、どれか1つの要素にこだわると他の要素に制約が生じてしまう。
現状では、高輝度のマイクロLEDディスプレイやBirdBath方式を選択すると、高価になるか、重くなってしまう。薄型で全天候型の光導波路技術を採用すると、歩留まりが悪く、価格が跳ね上がる。リアルとバーチャルを融合できるSLAM技術は必要な演算能力と消費電力が高すぎて重量が大幅に増し、装着感に影響する。
RayNeo X2は究極のAR光学方式である回折光導波路を採用した。BirdBath方式より薄型で軽く、普通のメガネに近い形状のため、長時間の装着が可能になる。また輝度1000nitに対応したマイクロLEDパネルを搭載しているため屋外での使用条件も満たしており、このARグラスをかけたまま外出することもできる。
このRayNeo X2は究極のARグラスの未来を描いているが、価格面では万人受けするものとはならない可能性がある。
AR・VR市場は2022年に縮小したが、市場調査会社IDCは23年に拡大に転じると予測している。また21年から26年にかけて中国AR・VR市場の年平均成長率が42.2%に達するほか、26年までに中国AR・VRへの投資規模が世界の24.4%を占め、世界第2位の市場規模となるとも予想する。
李CEOによると、この先AR市場が成熟した後は、中国に代表される市場と米国に代表される市場で2社以上のリーディングカンパニーが出現するという。スマートフォン時代をリードしたのはアップルだったが、AR時代は米国と中国が同じスタートラインに立ったということだ。
(翻訳・畠中裕子)
7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録