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ガス検出・分析機器を製造する中国テック企業「武漢敢為科技(Ganwei Technology)」がこのほど、数千万元(数億~十数億円)を調達した。出資したのは上海申能(Shenergy)、上海錦冠投資など。
敢為科技は2013年に設立され、高精度光学式ガスセンサーを中心に、炭素排出量モニタリングやエネルギー分野の安全監視などに対応したデジタルソリューションを手がけている。
中国で主流となっているガスセンサーはMEMS方式、電気化学方式、非分散型赤外線(NDIR)方式を採用した消費者向け警報器などがメイン。工業用の高精度ガスセンサーの研究もなされているものの、産業化の程度は低い。コアデバイスの基礎研究が不足していることが主な理由だ。
MEMS方式のガスセンサーは低コストだが精度が低く、定量的な測定ができない。光学式ガスセンサーが登場するまで主流だった電気化学方式は、コストが低めで精度も高いが、寿命が短いという欠点がある。
光学式ガスセンサーは、ガス分子の光に対する吸収波長の違いを利用してガスの特性や含有量を識別し検出する。光学式は検出精度が高く、ppb(10億分の1を示す単位)からppt(1兆分の1を示す単位)レベルの検出が可能。現時点で光学式ガスセンサーの最大の欠点は、コアデバイスの国産化率が低いことだ。
敢為科技を創業した張俊竜氏によると、同社の主な強みはまさにこのコアデバイスを巡るものであり、高精度な光学式ガスセンサーの自社開発に成功したことだという。張氏は華中科技大学で光電子情報工学の博士号を取得し、この分野で長年にわたる研究を行ってきた。敢為科技はすでに複数のコアデバイスを発売しており、高精度光学式ガスセンサーの国産化率は90%以上に達する。一部の製品はシーメンスやABBなど海外トップメーカーの製品に取って代わることができると、張氏は語る。
中国政府が脱炭素政策「ダブルカーボン目標」を掲げたことに伴い、国の関係部門や地方政府は温室効果ガスのモニタリングをいっそう重視するようになっており、国内の炭素排出量モニタリング技術の進歩やモニタリング設備の応用にもさらなる発展のチャンスが訪れている。
例えば一酸化炭素の検出では、敢為科技はガスフィルター相関法の赤外線吸収方式を採用し、自社の知的財産権を持つ長光路ガスセルを組み合わせることで、大気中の一酸化炭素を高い精度で検出できる。(編集部注:日本の気象庁などは一酸化炭素を温室効果ガスには含めていないが、間接的に地球温暖化に影響していることが分かっている)
ガスの検出能力は主にハードウエアにかかっているとはいえ、ソフトウエアやデータサービスなどの包括的なサービスがなければ、顧客は検出結果を直接利用することはできない。このため同社はさらに、昨年からソフトウエアとデータサービスの開発に着手しており、特に炭素排出量モニタリングの分野で「ハードウエア・ソフトウエアプラットフォーム・データサービス」を組み合わせた新しい成長モデルを構築してきた。同時にエネルギーの安全監視への応用も進めている。
エネルギーの安全監視においては、自社開発のハードウエアを利用して高圧電気機器の安全状態を監視し、高精度センシングやデータアルゴリズムを融合した安全監視システムを構築している。火力発電や風力発電、太陽光発電などの高圧電気設備やエネルギー貯蔵システムの安全監視を行い、異常を察知すると警報を発する。
今回の資金調達を受けて、敢為科技は炭素排出量モニタリングとエネルギーの安全監視という2方面の事業を引き続き強化する考えで、高精度光学式ガスセンサーという強みを生かし、ハードウエア・ソフトウエアプラットフォーム・データサービスという新たな成長モデルの確立を目指していく。
(翻訳・畠中裕子)
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