「生産ラインから人の目を解放」 マシンビジョンによる外観検査、複雑環境でも高精度に欠陥検出

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「生産ラインから人の目を解放」 マシンビジョンによる外観検査、複雑環境でも高精度に欠陥検出

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中国のスタートアップ企業「心鑑智控(Seeking Intelligent Control)」は今年2月、シリーズA+とシリーズA++で計1億元(約19億円)近くの資金調達を終えた。

2018年に設立された心鑑智控はマシンビジョン(産業用カメラ)サービスを手掛け、外観検査コア技術の確立と応用シーンの拡張に取り組んでいる。同社の売上高は3年間で10倍近く増えたという。

マシンビジョンに比べると、従来の自動光学検査(AOI)には大きな欠点が2つある。目視検査は瑕疵を漏れなく見つけられるとは限らず、作業員の目にかかる負担も大きい。また、AOIは反射光などの複雑な光や検査に求められる高い精度と確度、高速で動く生産ラインに対応できず、透明・半透明の物体や反射光を生じる物体の検査が難しかった。AIの深層学習アルゴリズムにAOIの効率性とロバスト性を組み合わせ、マシンビジョンをAOIに応用することで、複雑な環境下でばらつきと未知の欠陥を検出することが可能となり、これがAI分野における最先端技術の一つとなっている。

創業者の羅暁忠氏は北京大学を卒業、米ピッツバーグ大学、米ミシガン大学で修士号と博士号を取得し、米マイクロソフト本社にエンジニアとして18年以上勤務した。同氏は5年前、中国の外観検査に1000億元(約1兆9000億円)以上の需要が見込まれる中、マシンビジョンの導入率がわずか10%にとどまり、残る90%が依然として人手に頼っていることに気づいた。そこで2018年に中国へ戻って心鑑智控を設立し「生産ラインから人の両目を解放する」ことに取り組んだ。

心鑑智控は透明、反射素材、高速移動中の物体に対するAI外観検査を手掛けている。光源の明るさ減衰やカメラのノイズ増といった干渉があっても高い精度を保ち、現在は医薬品、ガラス、高速生産ライン上の物体に対する総合検査に対応。特にAI医薬品包装検査システムの開発はPTP包装シートの外観検査が抱える課題を解消した。PTP包装シートに入っている医薬品の裏側を含む1シート24錠の表裏両面を一度に検査でき、0.2ミリメートルの黒点、粉末、異物、破損の検出率は99.5%となっている。

工業でAI技術の応用が広がる中、マシンビジョン分野は参入企業が増え、競争が激しくなりつつある。昨年は中国のマシンビジョンに対する投資件数が42件、投資額が77億4100万元(約1500億円)に上った。関連企業のうち凌雲光(LUSTER)と奥比中光(Orbbec)は上海証券取引所のハイテク企業向け市場「科創板(スターマーケット )」に上場。大幀科技(BGFRM)はプレシリーズAで1000万元(約1億9000万円)、博視像元(BOPIXEL)はエンジェルラウンドで1億元(約19億円)近くを調達し、梅卡曼徳(MECH MIND)はシリーズC+の資金調達を終えた。

(翻訳・大谷晶洋)

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