家庭のデータ管理はプライベートクラウドで、中国スタートアップのサーバー製品が欧米で存在感

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家庭のデータ管理はプライベートクラウドで、中国スタートアップのサーバー製品が欧米で存在感

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家庭用デジタル資産管理サービスを提供する中国スタートアップ企業「氷鯨科技(IceWhale Technology)」が、このほどプレシリーズAで数千万元(数億~十数億円)を調達した。雲時資本(Seas Capital)が出資を主導し、奇績創壇(MiraclePlus)も加わった。

氷鯨科技は2020年8月に設立された。欧米のテックオタクやクリエイターを起点に、一般消費者向けプライベートクラウド製品の提供を目指す。

インターネットの出現によりデータや情報は爆発的に増加してきた。以前はローカルに情報を保存することがほとんどだったが、モバイルインターネットでデータ量がさらに増大するとクラウドコンピューティングが誕生し、大量のデータ保存や処理をクラウドベンダーが担うようになった。しかしこれまで、クラウドサービスを購入するのは大部分が企業であり、個人で導入するケースは少なかった。

氷鯨科技が目を付けたのは一般消費者向けプライベートクラウドの分野だ。個人や家庭でデータを管理するためのNAS(ネットワーク接続ストレージ、Network Attached Storage)を手がける。

世界的に見ると、一般消費者向けNASは初期市場と言える。氷鯨科技の潘鑫磊CEOは、今が製品を定義する段階であり、これから市場は急成長すると考えている。調査会社Statistaの統計によると、2009~19年の10年間、画像やショート動画が台頭し、リッチメディアが主流になるにつれて、データの生成速度が飛躍的に上昇し、データ量は実に77倍に増大した。

氷鯨科技はまず、この分野で進んでいる欧米市場の開拓から始めた。同社が海外のクラウドファンディングサイトを通じて2021年に発表した初のホームサーバー製品「ZimaBoard」は36Krでも取り上げた。発表時の定価は99ドル(約1万3600円)で、主にテックオタクやクリエイターをターゲットにしており、x86シングルボードコンピューターの拡張性とサーバー機能を備えている。

「2022年6月に全世界で出荷を始めてから、すでに2万台以上のZimaBoardを納入し、Amazonのサブカテゴリーで単品販売量トップに立った」と潘CEOは語る。

テックオタクやクリエイター、オープンソースコミュニティーの力を借りながら、氷鯨科技は初期製品のブラッシュアップを進め、ハードウエアから徐々にソフトウエアにも手を広げてきた。2021年にはオープンソースの家庭用クラウドシステム「CasaOS」が、ソフトウエア開発プラットフォームGitHubで公開された。

CasaOS

NASはプライベートな空間に設置したストレージと考えることができる。家庭内のデバイス(スマートフォン、パソコン、カメラ)をNASとつなぐことで、ネットワーク経由でデータを転送できるようになり、USBメモリーを使った端末間のコピー&ペーストは不要になる。

CasaOSを導入すれば、搭載されているアプリを使ってデータ資産やハードウエア性能を効果的に管理できるほか、オープンソースというCasaOSの特長を生かして、スキルを持つ開発者が独自のアプリを開発することもできる。

CasaOSには、データ管理やリモート支援、スマートホームなど、複数のカテゴリのアプリがあると潘CEOは紹介する。CasaOSはこの1年間に50種類以上のプライベートクラウドアプリをリリースし、GitHub上で8500スターを獲得している。昨年、世界142カ国のユーザー10万人以上が同社のサービスを利用してパーソナルな「データセンター」を構築した。

今年は製品カテゴリの拡充を計画しており、コンテンツクリエイター向けの新商品を発表して、プレイヤーや開発者の基盤をさらに拡大する考えだ。またCasaOSの開発にも引き続き投資し、欧米市場で家庭内のデータ管理に関わるより良いソフトウエア機能を提供していくという。

(翻訳・畠中裕子)

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