究極のARグラス目指す「雷鳥創新」が初の資金調達、22年は中国市場トップシェア

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中国TCL傘下のAR(拡張現実)技術を手掛けているスタートアップ企業「雷鳥創新(Thunderbird Innovation)」が、初の資金調達で1億元(約19億円)以上を調達した。復星創富(Fosun Capital)と容億投資(Winreal Investment)が出資を主導し、三七互娯(37 Interactive Entertainment)と博士眼鏡(Doctor Glasses)が戦略出資を行った。これ以前に、雷鳥創新は博士眼鏡と戦略提携を結んで共同研究室を設立しており、スマートグラスの装着感の向上やオフラインの販路強化などの分野で協力していくという。

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雷鳥創新は2021年に設立され、ARグラスの研究開発に特化している。これまでにコンシューマー向けARグラス「雷鳥Air」、BirdBath光学エンジンを採用した「雷鳥Air 1S」、光導波路方式の「RayNeo X2(雷鳥X2)」を発表している。

世界のAR市場はまだ初期段階にあるものの、国際研究機関IDCは、2023年のAR・VR(仮想現実)デバイスの世界出荷台数が前年より32%増加し、26年には出荷台数が3510万台に達すると予測している。中国の調査会社・艾瑞諮詢(iResearch)によると、22年の中国コンシューマー向けARグラスのオンライン販売において、雷鳥創新が市場シェア28.4%でトップに立った。

雷鳥創新を創業した李宏偉CEOは、AR市場はソフトウエア・ハードウエアの技術、販売やマーケティング、サプライチェーンなど、総合力が試される分野だと語る。同社のチームにはさまざまな分野の人材が集まっており、光学設計やインタラクションアルゴリズムなどのコア技術やアプリケーションエコシステムに知見が深い。またTCLからの全面的なバックアップも受けている。

現時点で、ARグラスはまだ一般消費者に浸透してはいない。技術やコスト、歩留まりなど数々の制約のなか、ARグラスメーカーの大部分が技術的に妥協したソリューションを採用している。

今、市場に出回っているARグラスはピラミッドのような業界構造になっていると、李CEOは語る。ピラミッドの最下層はディスプレイ機能を省略したスマートグラスで、オーディオや写真撮影などの機能にスポットを当てたものだ。短期的にはそれなりに売れたが、厳密にはARグラスとは呼べない。第2層は、現段階ではディスプレイメインのARグラスで、その光学技術はBirdBath方式と光導波路方式に大別できる。

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技術的に成熟しているBirdBathは画質が良く、現時点では最も広く採用されている方式だが、厚みや重さがあり、透明度も低いことがネックになっている。光導波路方式なら薄く軽い製品に仕上げることができるが、ディスプレイの輝度や歩留まり率、生産率の向上が課題だ。李CEOの考えでは、ピラミッドの頂点に位置する「真のARグラス」とは、コンパクト、自然な画質、全天候型、バーチャルとの融合という4つの特徴を満たしたものだ。このため雷鳥創新は最新のRayNeo X2に、回折光導波路・マイクロLED・SLAM(自己位置推定とマッピング)を組み合わせた究極のARグラスソリューションを採用する試みを行った。

RayNeo X2は自社開発の超小型フルカラーマイクロLEDライトエンジンを採用し、回折光導波路の輝度を3倍に高めた。さらに独自のオートメーション設備やシステムを導入することで、フルカラーライトエンジンの量産で高い歩留まりを実現した。同モデルは今年1月に世界最大のテクノロジー見本市CESで展示され、2023年上半期に量産・発売を予定しているという。

とはいえ、一般消費者にとって究極のARグラスはまだまだ遠い存在だ。このため雷鳥創新では、現時点で最も成熟しているBirdBath方式の製品も展開している。

目下、BirdBath方式のARグラスはスマートフォンの拡張スクリーンとして、映画鑑賞やゲームなどの場面ですでに一定のユーザーに受け入れられている。テレビやプロジェクター、スマートフォンなど従来のスクリーンとは異なり、ARグラスは時間や場所を問わず、両手をふさがずに動画を視聴できるうえ、誰かにスクリーンをのぞかれる心配もない。2023年にはBirdBath方式を採用したARグラスの製品数が急激に増え、出荷台数は数十万台に達すると、業界関係者は予想している。

(翻訳・畠中裕子)

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