世界初8KのVRヘッドセットの「Pimax」、約40億円調達 法人向け事業と中国市場に注力

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世界初8KのVRヘッドセットの「Pimax」、約40億円調達 法人向け事業と中国市場に注力

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VR(仮想現実)ヘッドセットを開発する中国メーカー「Pimax(小派科技)」がこのほど、シリーズC1で2億元(約40億円)を調達した。出資を主導した端木資本(Tuanmu Capital)のほか、青島海発集団(Qingdao Haifa Group)なども参加した。

2015年に設立されたPimaxは、製品の開発から生産、販売までをトータルに手がけるVRデバイスメーカーだ。

2016年に初の製品「Pimax 4K」を発表する。ほとんどのVRヘッドセットの解像度がHDやフルHDにしか対応していないなか4K画質を打ち出した。翌17年には世界初の8K対応PC用VRヘッドセット「Pimax 8K」をリリースする。クラウドファンディングサイト「Kickstarter」で423万ドル(約5億8000万円)を集め、米メタ傘下のOculusが打ち立てたXR(クロスリアリティ)分野のクラウドファンディング最高額を更新した。この記録は今も破られていない。

22年10月に発表した「Pimax Crystal」は、デバイス単独で使用できるスタンドアロンとPC接続の両方に対応している。視野角1度あたりの画素密度は、一般的な消費者向けVR製品が20PPD程度なのに対し、人の網膜レベル60PPDに近い42PPDを実現した。同モデルはレンズ交換が可能な世界初の製品でもある。Pimaxの創業者で会長の翁志彬氏によると、12Kに対応した製品の開発も順調に進んでおり、今年末のリリースを予定しているという。

Pimaxが開発した歴代のVRデバイス

昨年末には、クアルコムのSnapdragon XR2を搭載した携帯型ゲーム機「Pimax Portal」を発表した。コントローラー部分は脱着可能で、ディスプレイをVRゴーグルに、コントローラーをハンドル部に取り付ければ、VRヘッドセットとして使用できる。またSwitchのようにコントローラーを専用アクセサリーに取り付けて、リビングのテレビでプレイすることも可能だ。これまで、Pimaxの製品を好んで利用するのは海外のヘビーゲーマーやテックオタクが中心だったが、携帯型という使いやすいタイプで価格も抑えたことにより、より幅広いユーザーの獲得を目指す。

Pimaxはこれまで主に海外の消費者向け市場を開拓してきた。先進国48カ国にマーケティングおよびサービスネットワークを構築し、コンテンツ開発事業者200社以上との提携を進めてきた。今回の資金調達を受けて、今後は徐々に法人向け事業と中国市場に重心を移していくことを検討している。

データによると、VR・AR(拡張現実)デバイスの2022年世界出荷台数は、前年から12%以上減少した960万台だった。しかし業界関係者の多くは、この減少がマクロ環境の影響を受けた周期的な変動にすぎないと考えており、最近発売されたソニーの最新VRヘッドセット「PSVR2」や間もなく発表されるアップルのVRヘッドセットにより、業界は再び大きな盛り上がりを見せると予測する。

中国はVR・AR産業の発展目標を政策として掲げている。昨年11月、工業情報化部など政府5部門が発表した「仮想現実と業界応用の統合発展のための行動計画」では、2026年までに中国の仮想現実産業を3500億元(約7兆円)規模に成長させ、仮想現実デバイスの販売台数を2500万台以上に引き上げることが明示されている。

この先VR・ARはXR製品に統合され、次第にパソコンやスマートフォンに変わる次世代のパーソナルデバイスとなり、巨大な市場へと成長すると翁氏は考えている。

(翻訳・畠中裕子)

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