ペーパーレス化で注目集まる。中国発PDF編集ソフト「UPDF」、海外市場向けに急展開

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ペーパーレス化で注目集まる。中国発PDF編集ソフト「UPDF」、海外市場向けに急展開

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ファイル編集・作成ソフトを開発する中国のスタートアップ企業「賽博愛思軟件科技(SuperAce Software Technology)」(以下スーパーエース」)が、プレシリーズAで数千万元(数億~十数億円)を調達した。漢儀創新科技(Hanyi Innovation Technology)が出資を主導した。

スーパーエースは2021年9月に設立されたSaaS企業で、全世界のユーザーにPDF形式のファイル編集やコンテンツ作成機能を提供する。主力商品の「UPDF」は、完全独自開発の国産ファイル編集ソフトまた多機能のPDFリーダーで、PDFファイルの閲覧や編集のほか、コメント追加やファイルの管理が行える。デスクトップとモバイルのいずれにも対応している。

PDFファイルは現時点で最も普及しているファイル形式の一つだが、生成の構造や変換プロセスが複雑で、編集も容易ではないため、技術的な障壁は高い。このため、PDFフォーマットの生成やレンダリング、変換、レイアウト識別などの基幹技術を全て確立できている企業は世界的にも少ない。目下、世界のPDF市場ではAdobeが圧倒的な地位を築いて市場シェアの半分以上を占めており、中国メーカーはわずかなシェアしか獲得できていない。

近年、ペーパーレス化やテレワークの流れが活発化し、PDFファイルのニーズも増加の一途をたどっている。市場ニーズが膨らむ一方で、業界には明らかな課題もある。スーパーエースの創業者Roc氏は、今市場に出回っているPDFファイルは機能を充実させることに主眼が置かれており、利用者の実際のニーズや操作性が見過ごされていると語る。既存のソフトウエアベンダーは、ファイルの閲覧や編集ツールの開発にとどまり、テンプレートや共同作業機能などには手をつけようとしない。しかも売り手市場のため、サブスプリクション価格は高額になりがちだ。

こうした課題に焦点を当て、UPDFには多くの調整が加えられてきた。同業他社が140種類以上の機能を実装しているのに対し、UPDFでは40種類余りにまで機能をスリム化し、閲覧やコメント、編集、フォーム、バッチ処理、電子署名など重要な機能の使用感に重点を置いている。またゲーム用のレンダリングエンジンをファイル処理に活用して、処理効率を高めた。

「製造業では、一般的に使用されるファイルのサイズが大きい。5ギガバイトのPDFファイルを開くのにかかる時間をテストしたことがある。あるソフトは少なくとも10秒かかり、開けずクラッシュしたものもあったが、当社のUPDFはわずか3~4秒で開けた」とRoc氏は説明する。また他社製品と異なるのは、UPDFは互換性が高く、異なるOS間でも操作が可能なことだ。

価格面でも強みを発揮する。UPDFの年間利用料は平均約69ドル(約9000円)と、競合他社より30%ほど低い設定になっている。しかもアカウント一つでWindows、MacOS、iOS、Androidなどさまざまなデバイスに対応できるマルチプラットフォームで、OSごとに購入する必要がない。

UPFDの基本機能とサービスは無料で利用でき、より高度な機能、素材、クラウドサービスなどの付加価値サービスをサブスクリプション方式で提供することで収益を得ている。22年10月のバージョンアップから3カ月で売上高100万元(約1900万円)を実現し、現在は毎月約8万ドル(約1100万円)を売り上げているという。主に海外市場をメインに展開しており、登録ユーザー数は12万人以上、有料会員は1万人に達している。

将来的には、コンテンツ制作の分野にも可能性を広げていきたいとRoc氏は考えている。各ユーザーの職業特性に合わせて、ユーザーにぴったりのテンプレートを的確にプッシュすることにより、より良いコンテンツ作りをサポートしていくという。

(翻訳・畠中裕子)

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