水素エネルギーを駆動用電池や固定発電機に 中国新興企業の取り組み

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水素エネルギーを駆動用電池や固定発電機に 中国新興企業の取り組み

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水素燃料電池のシステムを開発する中国企業「氫途科技(HydroT Tech)」が4月に、投資銀行の中金国際金融(CICC)から8000万元(約15億7000万円)の出資を受けた。

2016年に設立された氫途科技は、燃料電池システムの開発と産業化に特化してきた。主な事業は燃料電池システムとそのコア部品の開発、および燃料電池に関連するエンジニアリングサービスだ。コアメンバーはいずれも浙江大学の出身で、同大学とは「水素エネルギーおよび燃料電池共同開発センター」を設立しているほか、出願した特許件数は70件以上に及ぶ。

水素エネルギーはクリーン、低炭素、貯蔵可能という特徴を有し、再生可能エネルギーの余剰分の消化、送電網のピークシフトといった活用シナリオで巨大なポテンシャルを秘めている。水素協議会(Hydrogen Council)の予想によると、2050年までには世界のエネルギー消費需要の18%を水素エネルギーが担うことになるという。

氫途科技は駆動用電池産業に着目し、バイポーラープレート、スタック、バッテリーシステムの生産体系を作り上げた。

同社は大出力燃料電池システムを開発し、商用車への搭載を進めてきた。これまでに数百台を納品済みだという。製品は第4世代に進化し、システム出力は240kWに達したほか、大出力スタックの独自開発にも成功している。また、電池システムは燃料利用率が99%、最大発電効率が60%以上に達しており、システムとスタックを一体化した設計でシステムの出力密度を850W/kgにまで高めている。

同社の周鴻波会長によると、水素エネルギー産業における重大なボトルネックはコストであり、燃料電池の競争力もライフサイクルコストに表れるという。このコストには購入費、運用費、使用過程における製品の信頼性が含まれる。

そのため、氫途科技は独自に燃料電池のコア部品を開発した。代表的なものは水素エジェクターおよびインジェクターで、このシステムはあらゆる出力(5〜100%)でエジェクターの還流に対応し、ノズル効率は5億回以上に達する。システムには寄生電流が生じないため、カソード(陽極)サブシステムのコストを60%下げられる。

燃料電池システムの実用化については現在、30車種以上の共同開発に携わり、バスや物流車、冷蔵車、大型トラック、フォークリフトなどに同社の燃料電池を数多く搭載させ、複数の省・市で大規模に商業化させている。システム搭載車両1台の走行時間は最長で9000時間以上、走行距離は最長26万キロに達した。

氫途科技の125kWの燃料電池システム

自動車の駆動用電池のほかには、水素を豊富に調達できるエリアで電力の地産地消を実現するため、燃料電池を発電機として使用する固定式発電システムを開発した。周会長によると、この発電システムは主に、副産物として水素を産生する工場で導入されている。

同社は浙江省金華市に3万3000平方メートルの生産ラインを有し、燃料電池を年5000個生産できる。この生産拠点はゼロカーボン工場として作られ、水素試験センターで生じた電力やソーラーパネルで発電した電力を工場内で分配して利用している。

(翻訳・山下にか)

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