バイク配達員の不安解消 中国新興、事業用電動二輪車向けバッテリー交換サービスを展開

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バイク配達員の不安解消 中国新興、事業用電動二輪車向けバッテリー交換サービスを展開

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電動自動車産業が激戦を繰り広げる中、見落とされていたある市場が静かに成長している。電動二輪車市場だ。

電動二輪車は軽量で手軽なため、多くの人が短距離の移動に利用している。中国自転車協会のデータによると、中国の電動二輪車の保有台数は3億4000万〜3億5000万台。電動自転車の新たな安全・技術基準が施行されたため、業界は「新旧交代」の過渡期に入り、市場はこれから成長期を迎えるとみられる。

電動二輪車の買い替えピークが到来すると、バッテリーの充電や交換に対する需要や安全問題も日増しに顕在化してくる。当然、関連産業も急成長することになる。電動二輪車は市民の日常用途以外にも、宅配便・出前・即配など短距離物流の事業用車両として使われており、後者のほうがバッテリー交換サービスに対する需要は大きい。配達員にとって電動二輪車の航続距離の短さは最大の悩みとなっているからだ。

2019年12月に設立された「光宇出行科技(Costrip)」はまさに、事業用電動二輪車向けにバッテリー交換サービスを提供する企業だ。主に都市部で出前や荷物配達などを担うバイク配送員をターゲットに便利なバッテリー交換サービスを展開している。

「現在、中国にはバイク配達員が1300万人いる」。光宇出行の宋洋CEOはこう述べ、「電動二輪車向けに安全で手軽なクリーンエネルギーを提供するサービスは、これまで見逃されてきた黄金産業と言える。トップクラスの企業でもまだ150万人ほどをカバーしているにすぎず、市場は供給不足の状態だ」と話す。

2022年末までの6年間、事業用電動二輪車向けバッテリー交換サービス市場は急成長を遂げてきた。EVとその関連産業の調査機関EVTankの予想では、その産業規模は25年には1300億元(約2兆5300億円)を突破するという。出前サービスに使われる電動二輪車向けのバッテリー交換サービスが登場して6年になるが、現在の市場浸透率はまだ30%ほどと低水準にとどまる。ロッカー型の電動二輪車向けバッテリー交換設備に対する需要は爆発的に増えている段階だ。

光宇出行は、市場で広がる需要と関係会社の「光宇国際集団科技(Coslight Technology International Group)」がこれまで積み上げてきたバッテリー技術をもとに、電動二輪車向けのバッテリー交換サービス分野に足を踏み入れた。光宇国際集団科技は1994年にバッテリー業界に参入し、99年に香港証券取引所のメインボードに上場、米アップル、中国スマートフォン・通信機器大手のファーウェイやシャオミ(Xiaomi)のコアサプライヤーを務める。

バッテリー交換サービス業界ではバッテリーそのものがとりわけ重要だ。光宇出行ではリン酸マンガン鉄リチウム電池を独自に開発している。マーケティングディレクターの郭剣氏によると、同社製のバッテリーは高エネルギー密度でサイクル寿命が長く、低温にも強いなどの特徴を備え、航続距離を30%伸ばして1回の充電で80〜100キロ走れるようになった。バイク配達員たちの不安を解消できたことが急速なユーザーの伸びにつながったという。充放電は4000サイクル以上、バッテリーの寿命も5年以上に達するなど、リン酸マンガン鉄リチウム電池の製造技術では業界をリードしているほか、バッテリー1個あたりの資本利益率も大きく向上した。またIWN-バッテリーマネジメントシステムとNFC(近距離無線通信)チップの2つの技術でバッテリーの安全性を監視したり、使用データを取得したりでき、リアルタイムでモニタリングするとともにオフラインでのサービスを実現している。

光宇出行のスマートバッテリー交換ロッカーではわずか40〜45分でフル充電が可能で、バッテリー交換は10秒以内で完了する。さらに温度感知・煙感知・防水・防塵・防湿・防漏の6大機能を備えたスマート保護システムや、各庫内に別個に設置された消防設備により安全性が確保されている。

現在の事業モデルはバッテリーのリース、月額会員対象の回数無制限のバッテリー交換サービス、単発のバッテリーレンタルの3つがある。今年2月時点で中国国内の91都市でバッテリーデバイス40万台、バッテリー交換ロッカー1万5000台を展開しており、有料ユーザー数は累計76万人を越えた。郭氏によると、光宇出行は業界でシェア2位。すでに大幅な黒字で、22年の純利益は1億元(約19億5000万円)を超えるという。

バッテリーおよびバッテリー交換ロッカーの生産拡大とターゲット市場へのさらなる浸透を進めるため、初めての資金調達も計画中だ。宋CEOによると、同社のバッテリー交換サービスを国内の地級市(二級行政区)の60%にまで広め、有料ユーザー200万人突破、年間売上高20億〜30億元(約390億〜580億円)を目指していくという。

(翻訳・山下にか)

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