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リチウムイオン電池の絶縁コーティング技術を開発する中国スタートアップ企業「広東科雷明斯智能(Guangdong Climax Smartech)」(以下、科雷明斯)がこのほど、珠海高新投(Zhuhai Hi-Tech Venture Capital)の単独出資するシリーズAで数千万元(数億~十数億円)を調達した。
科雷明斯は2010年に設立され、リチウムイオン電池にせん断強度の高い絶縁コーティングを施すトータルソリューションを提供している。
高電圧のバッテリーモジュールには優れた絶縁性や耐電圧性が求められる。バッテリー電圧が800Vの場合、絶縁破壊電圧(絶縁状態を保てなくなる電圧)は3000~4000Vを必要とするが、現行の絶縁フィルムでは最大2500Vまでしか対応しておらず、高い電圧がかかる場面では深刻な事故に至るリスクをはらんでいる。
また、バッテリーセルをモジュール化しないで直接電池パックに組み込むCTP(Cell to Pack)やバッテリーセルを車両のシャシーに直接組み込むCTC(Cell to Chassis)などの技術の進歩に伴い、バッテリーシステムにはさらに高い要件が求められるようになっている。例えば、モジュール化を省略しつつシャシーの強度を保つには、バッテリーセルのアルミケースと保護材の間のせん断強度(接着の強さ)が10MPa以上でなければならない。しかし、従来の保護剤である絶縁フィルムとアルミケースの間のせん断強度は2MPaに満たず、技術的な要件を満たすことができていない。
科雷明斯は3年にわたって技術改良を繰り返してきた結果、材料から装置、コーティング技術を含むトータルソリューションの開発に成功した。そのコーティング精度はマイクロメートルレベルに達する。
使用する材料は、耐電圧性やせん断強度など主要な項目で優れた性能を示す。現在主流となっている800Vの高電圧モジュール設計では、3000~4000Vの耐電圧が必要なのに対し、科雷明斯の絶縁コーティングは6000V以上の電圧にも耐えることができる。CTP方式を採用した場合、システムの強度を確保するために必要なせん断強度は10MPaだが、同社の絶縁コーティングは13MPa以上を実現。変形を防ぎ、セルを保護する上で重要な引張強度が10MPa以上あるほか、熱変形温度は120度を超えている。
コーティングには瞬間光硬化技術を採用、プロセスは高精度かつ自動制御だ。ノズルを素早く切り替えることで、さまざまな型式のバッテリーにも対応でき、良品率は99%以上に達する。
科雷明斯の周完成会長によると、従来の紫外線硬化型材料はせん断強度や耐電圧がそれほど高くないが、同社では分子式の構造に基づいて6種類の材料を独自に合成し、配合に関する30件以上の特許を取得したという。コーティング装置や自動制御技術、プロセス、塗布精度などに関わるコアアルゴリズムも全て独自開発だ。
同社のソリューションは主に材料・設備市場をターゲットにしている。2025年までに駆動用・蓄電用のリチウムイオン電池の需要は約2500GWhに達すると予想され、それに伴う高せん断強度コーティング材料の市場は約80億元(約1560億円)規模、粗利率70%になると見込まれている。また24~25年には電池の生産能力が新たに約500GWh増え、それに伴い約40億元(約780億円)規模の設備購入が発生すると予測されている。
周会長によると、大手顧客向けに新製品の試験導入を全面的に実施しており、すでに3、4社から受注を獲得したという。
(翻訳・畠中裕子)
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