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建設業界は労働集約型産業であり、人件費が企業の経営コストに及ぼす影響が大きい。中国では高齢化が進んでいること、また高所作業で安全に関わる問題が頻発していることを受け、建設業界では人件費が一層上昇している。中国住宅都市農村建設部の統計によると、中国では2021年に住宅および都市インフラの建設現場での事故が734件発生しており、そのうち高所からの転落事故が52%を占めている。
そこで中国の建設ロボットメーカー「築橙科技(ZaneCon Technology)」は、高所作業に相当する外壁吹付塗装に真っ先に目をつけた。社長の正端氏は「建設業では『材料3割、施工7割』と言われ、施工は塗料の生産高の2倍以上を占める。作業員にロボットが取って代わるという観点で考えると、新築住宅市場は年1000億元(約2兆円)規模、既存住宅の外壁塗り替え市場は年2000億元(約4兆円)規模に達する可能性がある」と述べる。
18年に設立された築橙科技は、建設ロボットの開発・生産・製造・インテリジェント施工技術サービスを一体化したトータルソリューションを提供している。作業過程を標準化することで確実な品質管理を行い、作業員に代わって危険な作業を行えるようになるという。
中でも外壁用吹付塗装ロボットは実用化まで進んだ。同社のソリューションは外壁の設計・パテ処理・施工補助・吹付塗装・品質管理までを網羅し、顧客の視点に立ってゼロから全プロセスを組み立て、工程単体の自動化にとどまらない「真の自動化」を目指す。高所作業に伴う危険を大幅に減らし、施工作業の効率も格段に高められるため、中国国内で複数の不動産開発企業が採用し、すでに現場へ投入されている。
紹介によると、その塗装ロボットは2022年までに累計数十万平方メートル分もの塗装作業を行ってきた。本格的に商業化を進める今年は、旧正月以降の単月の契約額がすでに22年通年の契約額を超えているそうだ。
基礎技術と経済効果から考えると、ロボット開発企業が高所作業を手がければ事業規模を広げたり、独自の技術的優位を築いたりできるというメリットがある。
その理由の1つは、高所作業の多くは施工の最終段階にあたり、複数の作業員が異なる作業で交錯することが少なく、作業過程が高度に標準化されているからだ。2つ目の理由は、高所作業には大きな危険が伴ううえ、作業員よりもロボットのほうがずっと小回りがきくため、ロボット導入の費用対効果が高いことが挙げられる。3つ目の理由は、高所作業は多岐にわたり複雑で、高所環境での安定性やセンシング、ナビゲーション、作業計画、制御を実現するには高い技術が求められることから、いち早くこれをクリアできれば業界で優位な立場に立てるからだ。
築橙科技は複雑で多様な作業環境における高所作業リフトの安全性や安定性、環境感知、自律移動、エンドエフェクター(ロボットアーム先端部)の精密測位に関する独自技術を大量に蓄積してきた。リフトの安定性制御については独自にアルゴリズムを開発し、風の状況に応じて自動制御装置を調節して、屋外でも確実にリフトを安定させられるようになっている。
環境感知技術についてはSLAM(自己位置推定と環境地図作成)レーザーを採用し、塗装を施す壁面の形状を3Dモデリングで測定し、施工作業を高精度にコントロールする。精密測位が必要なロボットアームのエンドエフェクターについては、フレキシブルな追従制御アルゴリズムで運動軌跡をなめらかにし、思い通りの仕上がりに近づけられる。
21年10月に実施した金茂グループとの提携プロジェクトでは、高所での吹付塗装作業の約50%をロボットで無人化し、安全性を高めた。ロボットが担当した部分は作業員の3倍以上の効率で進み、工期は30%も短縮できたという。
特筆すべきは、築橙科技は実地作業を通じて塗料の供給方式、配合比率、作業強度などを改善し、コーナー部の処理や平坦度測定などの工程を補強して、パテ処理や吹付塗装などの工程ノウハウをナレッジベースに集積している点だ。このナレッジベースをロボットの作業配分システムと合わせ、作業の質も高く効率的で標準化された施工プロセスを組み立てている。
同社は直近のシリーズAでは、約1億元(約20億円)の資金調達を完了した。リードインベスターはXVCで、レノボ傘下の聯想創投(Lenovo Capital)も前シリーズに引き続き出資した。
(翻訳・山下にか)
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