中国の大型トラック、電池交換式の普及進む。システム開発企業が資金調達し「無人化」に注力

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中国の大型トラック、電池交換式の普及進む。システム開発企業が資金調達し「無人化」に注力

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大型トラック向け電池交換システムを手がける中国スタートアップ企業「智慧優視(Smartvision)」が、天津信聯智造の主導するプレシリーズAで1500万元(約3億円)を調達した。調達資金は主に充電・電池交換およびエネルギー貯蔵技術の研究開発に充てられる。

2015年7月に設立された智慧優視は新エネルギー大型トラック向けの充電・電池交換、分散型エネルギー貯蔵などの事業を展開し、関連するインテリジェントシステムと製品の開発・販売を手がけている。

新エネルギー車の電池交換式は中国の乗用車市場で導入が遅れているが、大型トラック市場では普及が進んでいる。「中国電動大型トラック産業発展白書(2023年)」によると、22年の中国の電動大型トラック生産台数は2万5500台で、前年比102.2%の大幅増となり、大型トラック業界の電動化率は3.79%に上昇した。

智慧優視の創業者・許国栄CEOは、電池交換式が中国の大型トラック市場で普及している要因について、業界が比較的統一された基準を確立し、国内大手トラックメーカーが政府の呼びかけに応じて、2020年という早い時期から電池交換が可能な車体を供給し始めたためとの見解を示した。

車体と電池が分かれている電池交換式大型トラックは、素早くエネルギーを補充できるという利点があり、コストもディーゼルトラックよりはるかに低い。また、ディーゼルトラックは中国の自動車保有台数の約3%に過ぎないが、二酸化炭素排出量の約40%を占めるため、大型トラックの二酸化炭素排出削減の余地は乗用車よりはるかに大きいと言える。中信証券のリポートによると、2021~22年に普及が進んだ電池交換式大型トラックは、短期的に業界の主要なスタイルになる可能性がある。

また、電気自動車(EV)関連の調査機関EVTankは、2030年に中国の電動大型トラックの普及率が30%まで上昇し、大型トラックの販売台数44万台前後のうち電池交換式が80%以上を占めるとの予測を示した。

智慧優視は現在、中国で20の1級行政区(省・直轄市・自治区)に390カ所以上の大型トラック向け電池交換ステーションを展開し、設備ベンダー、運営会社、運送会社、自動車工場など複数の役割を担っている。

許CEOによると、同社は主に充電制御システム、大型トラック電池交換制御システム、エネルギー貯蔵制御システムの三大事業を手がけている。その強みはカスタマイズ、インテリジェンス、互換性にあるという。同氏は「当社が提供するマスターコントロール・システムは異なるメーカーの設備に対応しており、さまざまなバッテリーラックを識別できるロボットアームなどを備えている」と話した。

また、コスト削減と効率向上に対する市場の強いニーズを考慮して「無人電池交換」に注力している。許CEOによると、同社は無人の管理・運営システムの強化を目指し、複数の電池交換スタンド事業者と協力しながらシステムの試験運用を進めている。向こう1年ほどで無人管理・運営システムをさらに安定させ、それから大規模な活用へと広げていく見通しだ。

安全性に関して、マスターコントロール・システムは電池交換ステーションに関する全部品のライフサイクルを管理できるため、修理が必要な部品や設備を事前に知らせると共に隠れた危険に対する早期警告を発し、関連する故障のデータを保存して事後分析とその後の事故防止に生かすことができる。

ここ数年は大型トラック向け電池交換設備というニッチな分野の競争が激しくなりつつある。智慧優視は早くからモノのインターネット(IoT)に注目し、映像や制御などに関する豊富な経験を蓄積してきた。同社が開発した電動大型トラック向け電池交換ステーションのマスターコントロール・システムは2022年に中国市場で84%のシェアを占めた。現在は、国有電力大手の国家電網(State Grid)や国家電力投資集団(SPIC)、自動車メーカーの吉利汽車(Geely Auto)などに直接または間接的にサービスを提供している。

(翻訳・大谷晶洋)

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