大規模言語モデルで人材採用を再定義 人と企業のマッチングを大幅効率化

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大規模言語モデルで人材採用を再定義 人と企業のマッチングを大幅効率化

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ヒューマンリソース(人的資源、以下「HR」)は世界的に大きな業界であり、米国のオートマティック・データ・プロセッシング(ADP)や日本のリクルートなど時価総額数百億ドル(数兆〜十数兆円)クラスの企業が生まれている。中国で時価総額が最も高いのは「Boss直聘(BOSS Zhipin)」だが、ADPやリクルートには遠く及ばず、同国のHR市場は大きな成長の余地がある。中国国家統計局によると、中国のHRサービス産業は2025年までに16兆5000億元(約328兆円)規模に達し、中でも採用サービス市場は21年から26年にかけて最も成長が著しく、23年には2701億元(約5兆3800億円)になると予想されている。

ChatGPTブームで誰しもが大規模言語モデルの価値を認識した。HR業界、とくに採用業界は大規模言語モデルで再構築するだけの価値がありそうだ。2023年4月に設立されたAI採用プラットフォーム「智聘」は、自社で開発した大規模言語モデル「ZHIPIN-TLLM(Talent Large Language Model)」を用いて採用プラットフォーム「智聘COPLT」を構築し、求職者にとっても求人企業にとっても効率的な採用プロセスの実現を目指している。

採用プラットフォームで最も重要なのはマッチング力だ。求人企業からは多くの求人情報を掲載してもらい、同時に求職者のレジュメも相応の数を確保しておかなければならない。そのうえで大手プラットフォームは高いマッチング率を武器にしている。智聘では6月2日、求職者向けにレジュメの自動添削・編集ができるミニアプリをリリースした。生成AIが一般ユーザーの注目を集めていることもあり多くの求職者を引きつけている。求人企業向けのプロダクトも6月中にリリース予定で、採用プロセスに変化をもたらすものになるという。

インターフェースは、既存の採用プラットフォームが用いていた検索機能から大きく変更したという。テキストボックスに検索キーワードを入力するだけで多くのレジュメがヒットするだけでなく、自動で内容を分析してレジュメを選別してくれるという。複数の機能を1カ所にまとめたオール・イン・ワンを実現できたのは、大規模言語モデルが基盤にあるからだ。智聘ではオープンソースの英中言語モデルGLM-6BやMicrosoft Azureなどを用いて再学習を施し、レジュメに関するコーパス、職位に関するコーパスなどHR関連の専門用語を追加すると同時にベクトルデータベースと連携し、マルチモーダルなサービスを拡充している。

採用プラットフォームの料金プランもこれに伴って変わることになる。これまでの採用プラットフォームは求人情報の掲載料やレジュメ購入料として主に採用企業から料金を徴収していた。しかしAIを活用した人材採用の場合、求人企業は数多くのレジュメを取り寄せなくても求める人材を探し出せるようになり、採用コストが低くなって、人材を採用する部署単独で費用を支払えるようになった。智聘は「サイト内で優先的に求人情報を表示するためのオプション料金で収益を上げるのではなく、将来的にはすべてのユーザーの優先度を均一にし、その時々の需要に沿ったマッチングや表示を行う体制に一本化していきたい。プロダクトもサービスも高精度な検索とレコメンデーションを通じてマッチングの成功率を上げることに重点を置き、成約後に相応の費用を徴収するシステムにしていく」としている。

智聘は先日、シードラウンドで無錫逆熵資本から数百万元(数千万〜1億数千万円)を調達している。

(翻訳・山下にか)

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