台頭する中国の産業用ロボット、製造業DXを後押し

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台頭する中国の産業用ロボット、製造業DXを後押し

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中国の産業用ロボットメーカー「上海図霊智造機器人(Shanghai Turin Smart Robot)」(以下、図霊機器人)がシリーズAで1億元(約20億円)近くを調達した。出資は陝煤集団傘下の開源思創が主導し、既存株主なども参加。

2007年に設立された図霊機器人は、16年には、45年にわたり産業用ロボットの開発、製造、サービスを手がけるイタリアの老舗企業「RRRobotica」を買収した。

産業用ロボットは製造業のデジタル化(DX)を進めるうえでのキーポイントだ。中国工業情報化部などは2021年12月に「第14次5カ年計画のロボット産業発展計画」を発表し、23年までに中国のロボット密度(従業員1万人当たりの稼働ロボット台数)を20年の2倍にする指針を示した。20年のロボット密度は246台にとどまっており、産業用ロボット市場には大きな成長の余地があると言える。

創業者の陳棟CEOは、中国の産業用ロボット市場が黎明期にあり、少なくとも2億もの作業ステーションが中国に存在するが、現時点では産業用ロボットの保有台数が少なく「ほとんどの製造工場ではロボットによる自動化が行われていない」との見解を示した。

しかし、数台の産業用ロボットを導入すれば自動化が実現するわけではない。陳CEOは、ロボットの生産効率を上げるためには本体と治具に加え、視覚や触覚などの機能を導入しなければならないと指摘。1~2つの作業工程を変えても効果が小さいため、生産ライン全体を自動化に向けて再構築することが必要で、企業はこのために継続的に投資することになると説明した。

調査会社の艾瑞諮詢(iResearch)によると、2022年の中国の産業用ロボット保有台数は135万7000台で、うち多関節ロボットが60%、スカラ(水平多関節)ロボットが40%ほどを占めた。市場全体では海外ブランドが依然として約7割と、高いシェアを占めている。

陳CEOによると、中国の産業用ロボット市場は年間成長率約30%で拡大を続けており、中国ブランドにとってビジネスチャンスが多い。「品質を確保しながらいかに製品の性能を上げ、顧客により多くの価値を創造できるかがポイントだ」という。

図霊機器人は中国の産業用ロボットメーカーの中でも製品ラインがかなり充実している。主要製品は可搬重量(ペイロード)が1.5~500キロの6軸ロボット、3~80キロのスカラロボット、3~20キロの協働ロボットだ。また、0.75~1.5キロの軽工業および化学工業向け小型スカラロボットや、可搬重量が1000キロに上るロボットの開発も進めている。

また、ロボットコントローラー・システムを独自に開発したほか、中国語に対応したユーザーインターフェースを用意している。陳CEOは「当社は中国で最も早く中国人エンジニアに対応したメーカーで、顧客の使用コストやサービスコストを大幅に下げた」と話す。

同社のロボットはコンピュータ・通信・家電(3C)、新エネルギー・太陽光発電、リチウムイオン電池、蓄電システム、自動車部品加工、金属加工、液晶パネル業界、アパレルなどの軽工業、食品業界などで広く活用されている。

陳CEOは、今年は中国製ロボットにとって重要な1年となり、市場競争が日増しに激しくなると予測。その中で同社は、生産拠点と共同研究開発センターの建設・拡張や海外市場の積極的な開拓によって市場シェアを拡大する方針を示した。

創業者の陳CEOは上海交通大学を卒業し、産業用ロボット制御システムの開発と設計に従事してきた。中心メンバーも上海交通大学出身で、産業用ロボット研究開発分野において10年以上の経験があり、数多くの発明特許を保有している。現在、研究開発チームが全体の約25%を占めており、今後は欧州に技術研究開発センターを設立してチーム規模の拡大を計画している。

(翻訳・大谷晶洋)

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