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空気から水を作るソリューションを開発する「弘潤清源(HurRain NanoTech)」が近く、新たな資金調達を実施する。同社は昨年にもエンジェルラウンドおよび戦略投資で資金を調達しており、すでに新材料や空気製水器の開発、市場拡大などで計画通りの成果を出している。
弘潤清源は、先進的な機能性ナノ材料を用いてさまざまな業界を支援するテック企業で、2020年6月に設立された。超即効吸湿材料を活用したイノベーションを目指し、新材料開発プラットフォームと新材料を用いた空気製水器で世界的な水資源問題の解決に尽力している。これまでに国内外で数十件の特許を取得している。
国連のデータによると、世界では現在20億〜30億人が水不足に苦しんでいる。世界の水使用量は過去40年間に年1%ペースで増えており、2050年まで同様のペースで増えていくと考えられている。
弘潤清源の共同創業者でCEOの林騰宇氏によると、これまでの浄水技術は水を大規模な施設で集中的に浄化するもので、都市化率の高い場所でしか活用できなかった。一方で、世界では約40億人が都市化とは無縁の場所で生活しているため、各地に分散して活用可能な浄水技術の開発が必要とされてきた。
技術的な仕組みから見ると、逆浸透膜や精留(多段蒸留)など従来の水生成技術は、フィルターが目詰まりしやすく維持コストが高いほか、エネルギー消費が多い、エネルギー交換効率が悪いなど多くの問題を抱えている。こうした背景から、弘潤清源は空気中の水蒸気圧と吸着剤表面の水蒸気圧の差を利用して空気中の水分を吸放湿するナノスケールの新しい吸湿材料を開発した。
この吸湿材料は吸湿性を持つ塩化物と高分子基剤で構成され、高分子の多層化を促進する多孔質構造を有することで吸着剤と空気の接触面を広くし、水蒸気の透過性を上げたものだ。相対湿度(RH)15%なら、吸湿材料1kgで1日に数十サイクル稼働して5.8〜16.5リットル、30%なら13.3〜25.8リットルの水を生成できるという。
弘潤清源のコア製品は、空気中から効率的に水分を集めて純水を生成する空気製水器とその関連材料だ。水生成には水源が必要なく、機器の運搬や移動も可能なため、たとえ砂漠であっても機能する。
現在は容量別に小型の消費者用製品、中型の業務用製品、大型の産業用製品の3つの製品シリーズを展開し、1日に10〜2000リットルの水を生成できる。
消費者用製品では、汎用性の高い世界初の製品をリリースしている。容量は10〜20リットルで、湿度30%以下の環境で1時間あたり1リットルの水を生成できる。水5リットルを生成するのに必要な電力消費量はわずか1〜2kWh(キロワット時)だ。
業務用製品は容量50〜500リットルで、学校や政府機関など公共施設の利用需要にかなうものだ。
産業用製品は1台で5〜10トンもの水を生成できるもので、標準化された設置工事サービスを提供しており、主に中東などの海外市場をターゲットにしている。
弘潤清源は中東市場での展開を強化中で、今後も重点的に開拓していく計画だという。
林CEOによると、人口約5億人を抱える中東では、水問題を解決することが急務となっている。現地政府も浄水技術の開発を重要視しており、弘潤清源はこうした強い需要をバネに市場を拡大させている。さらに、中東では地下水が不足しており、多くの海水淡水化プラントが建設されていることにも触れた。海水淡水化プラント建設は入札価格は高くはないものの、送配水網の敷設などに莫大な投資が必要であり、末端の水道料金がかなり高くなってしまう。そのため、各地に分散して設置できる浄水設備には大きなポテンシャルがあり、弘潤清源の製品はまさにこの需要に合っているという。
同社の創業メンバーは清華大学材料工学など工学系の出身者だ。林CEOは清華大学で機械工学の博士号を取得し、機能性ナノ材料などの分野で産学連携の研究プロジェクトに長年携わってきた。
(翻訳・山下にか)
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