中国自動運転業界を牽引する「WeRide」、ロボタクシーが広州で実用化

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2020年の自動運転業界は、新型コロナ禍の中にあってなお元気だ。ソフトバンクグループはこのほど、ライドシェア大手の「滴滴(DiDi)」の自動運転事業部に3億ドル(約300億円)の投資を行うと表明した。また、インターネット大手のファーウェイ、アリババ、テンセントも自動運転の開発を進めている。

中国では「ニューインフラ」という概念が提唱されている。5G、超高圧送電、都市間高速鉄道と都市鉄道、新エネルギー車用充電スタンド、ビッグデータセンター、AI、インダストリアルインターネットの7つの分野がその対象であり、全国で50兆元(約750兆円)もの投資が予定されている。自動運転は上記のうち複数の分野にかかわるものであり、成長が特に期待されている領域の一つだ。

自動運転のなかでも一般人の生活に近いものとしてロボタクシー(無人運行が可能なタクシーを指す)がある。「蔚来資本(NIO CAPITAL)」の試算によると、ロボタクシーの市場規模は約3500億元(約5兆2500億円)に上る。この市場のトップランナーの一つが、レベル4の自動運転技術を持つ「文遠知行(WeRide.ai)」である。

広州で実用化されているロボタクシー

広州市黄埔区と広州開発区の一部地域では、文遠知行が提供するアプリ「WeRide Go」を使えばロボタクシーを呼ぶことができる。同じく自動運転技術を開発する「Waymo」、「小馬智行(Pony.ai)」、バイドゥ(百度)などの車両を体験するには招待コードなど特別な手続きが必要なのと比べ、文遠知行はアプリさえあれば、申請も審査も不要ですぐにロボタクシーを呼ぶことができる。

同サービスは現時点において中国で唯一の誰でも利用可能なロボタクシーサービスで、運営を行うのは2019年8月に設立された「文遠粤行」社である。同社は文遠知行と中国華南地方最大のタクシー会社「広州市白雲出租汽車集団」の合弁企業だ。過去の実績から見ても、技術開発を行う企業が、自動車メーカーや一次サプライヤー、モビリティサービスの提供者と協力することの効果は、高いといえる。

文遠粤行ロボタクシーの運営初月(2019年12月)のレポートは今年2月に公表された。それによると、広州市黄埔区、広州開発区の計144.65km²のエリア内において、注文は8396件あり、事故は0だった。車両1台あたり1日14件の注文があり、通常のタクシーの注文数に近くなっている。

文遠粤行ロボタクシー運営レポートの抜粋(画像は文遠知行より)
文遠粤行のロボタクシー(画像は文遠知行より)

既存のネット配車などのモビリティサービスと比べ、ロボタクシーは限られた地域での運営となるため、地元の自動車メーカーと積極的に提携するなど、ローカル重視の方針を採用することが多い。この戦略なら現地の政府や市民に歓迎され、ウィン・ウィンの関係を築くことが期待できる。

もともとシリコンバレーで創設された文遠知行が広州に移転したのも、そのような考えからだ。さらに、同じ距離の公道試験をした場合、中国で行ったほうが米国の20〜30倍のデータを集計できることも大きい。同社によると、中国の歩行者と自転車の数は米国の約6倍、車線変更回数は米国の5倍であり、こうしたデータは非常に有意義だという。

広州は自動車産業が成熟した地域であり、「広州汽車集団(GAC Group)」、「東風日産(Dongfeng Nissan )」、「小鵬汽車(Xpeng Motors)」などの自動車メーカーがある。ビジネス環境もスタートアップに適している。今年1月、広州の複数の上場企業が共同で設立したVC「花城創投」が文遠知行への出資を発表した。

文遠知行のこれまでの資金調達(画像は文遠知行より)

自動運転の実現には車両自身のスマート化だけでなく、クルマと道路の連携も重要である。そのため、自動車メーカーとの提携のほか、通信企業による5Gインフラの建設も必要だ。さらに、自動運転が実現できれば、車内空間を有効利用するためにエンターテイメント設備が必要になり、より大きなエコシステムを構築することになるだろう。文遠知行は先行しているが、まだまだ道のりは長い。

(翻訳:小六)

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