信用力が試される時代 現金持ち歩かない中国「信用経済」の実情

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「信用」に価値があることは誰もが知っているが、それがいくらに相当するのかとなると、なかなか正確に答えられないだろう。個人に関して言えば、クレジットカードの利用限度額にその価値が現れている。企業に関して言えば、新型コロナ禍のなかにあって、信用情報に基づいて支援を受けることができる。しかし、これらはあくまで信用を使ったサービスにごく一部に過ぎない。

より広い視野で考えれば、信用による取引は、即時決済の必要がなく、担保も不要となるため、人類社会の取引形態のなかでも最も効率がよく、コストが低いものである。 その意味で、無形資産としての信用は、むしろ過小評価されていると言える。これをうまく活用することができれば、個人や企業だけではなく、業界、都市、国家を変えるポテンシャルを秘めているのである。市場経済の度合いが深まれば深まるほど、信用経済の規模は大きくなる。優れた信用環境を持つ市場であれば、信用を利用した取引が増加し、内需の拡大、経済の成長、雇用の創出につながるのである。

2019年末の時点で、中国の市場における経済主体の数は1.23億に達し、うち企業が3858万社、個人事業者が8261万人となっている。彼らは中国の経済活動の主要なプレイヤーであり、雇用を創出し、技術革新を推し進めている。また、信用経済を必要とし、信用を作り出しているのも彼らである。

そのように考えれば、この膨大な数の経済主体と、そこで働く労働者の持つ信用という無形資産を十分に活用できれば、予想を遥かに超える経済規模が創出できるだろう。アント・グループ(旧アント・フィナンシャル)が開発した個人信用評価システム「芝麻信用(Zhima Credit)」の元総経理である胡滔氏は、次の10年間で最大の成長をもたらすのは信用経済だと話したことがあり、正しくそのとおりである。

オンラインショッピングから信用への理解を深めた中国人

信用の価値を感じてもらうために必要なこと

どうすれば人々に信用の価値を実感してもらえるのだろうか。その答えは、「繰り返し使う」の一言に尽きる。

たとえば不動産担保ローンならば、一旦担保を設定すると、完済するまでほかのところで同じ物件を担保に出すことができなくなる。しかし、信用はそうではない。信用を財産として捉えた場合、使えば使うほど、価値が増える財産だと言える。

多くの中国人は、オンラインショッピングを通じて信用への理解を深めた。アント・フィナンシャルの創設に多大な貢献をした彭蕾氏は、「信用評価システムがなければ、今日のようなECはありえない」と言い切る。

アリババが開発した第三者決済システムと、それに伴う信用評価システムによって、買い手と売り手の双方が、簡単に信頼できる相手を見つけることが可能となり、取引の効率化と資源配分の最適化、コストの低下につながった。オンラインショッピングから始まった信用情報をほかの分野に応用することで、プラスの行動を取れば取るほど生活が便利になり、ルールに反する行為をすれば長期的な影響が残るようになった。

生活に浸透した自転車シェアリング

今の中国では、現金を持ち歩かずに、支払いをすべてスマホで行うことが当たり前になっている。それに加え、自転車シェアリング、シェアモバイルバッテリー、ホテル宿泊時のデポジット免除など、サービスを利用してから料金を支払うというビジネスモデルの普及も、信用あってのものである。

モバイル・インターネットと生体認証技術の進歩によって、今後顔認証だけですべての決済を行えるようになる日が来るかもしれない。そうなれば、信用の活躍できる場面はさらに広がり、大きな経済効果が期待できる。

「信用」を使用できるシーンを増やす

信用は特定のシーンと結びつけて使うものである。その価値を体現するためには、技術革新だけではなく、制度、ビジネスモデルの革新も必要となる。

中国国家発展改革委員会が2018年にはじめた「信易+」は、まさに信用情報の使用シーンを増やす試みである。現在当該プロジェクトの下で提供されているサービスには、融資審査の簡略化、賃貸オフィスの優先的利用権の取得、公共交通の割引、公共施設の入園料割引、許認可事項審査の簡略化などがある。どれも企業や個人が実益を感じられる分野で、こうした施策が信用をさらに大事にしようという意識の向上にもつながっている。

今後やってくるであろう「信用の社会」においては、すべての経済主体が信用識別情報を持ち、専用の管理システムで信用情報を管理され、信用に伴う権利と義務を持つようになるだろう。生活の各場面に応じて、それぞれに適した信用情報の評価方法も確立されるだろう。信用に関わる全ての行為が追跡可能となり、信用のある人の生活は益々便利になり、信用を失った人は身動きが取れなくなるのは、もはや空想上のことではない。

(翻訳:小六)

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