中国EV覇者BYD、日本では「新参者」――普及率1.7%の“絶望的市場”で直面した「駐車場拒否」と偏見の壁
新エネルギー車(NEV)の普及率が60%に迫る中国では、国内市場の競争が極限まで激化しており、自動車メーカーが生き残るうえで海外進出は避けられない選択肢になっている。
バッテリーやモーターなど電動化技術の完成度に加え、スマート機能や価格の優位性を生かし、中国メーカーが海外でも快進撃を続けると思われていたが、現実はそう甘くなかった。とくに閉鎖的で独自の文化を形成してきた日本は、しばしば「ガラパゴス」とも形容されるほど特殊な市場であり、想像以上に攻略が難しい。
ジャパンモビリティショー2025では、中国メーカーの出展は厳密にいうとBYD(比亜迪)1社のみだった。中国市場を席巻してきた電気自動車(EV)の巨人も、日本では「新参者」として一からのスタートを余儀なくされている。
EVに“関心ない”日本市場
中国でNEVの普及率が60%近くに達する一方、東京の街中で目立つのは軽自動車やコンパクトカー、ハイブリッド車だ。2025年9月時点で日本のEV普及率はわずか1.7%と、中国の2016年前後の水準にとどまっており、本格的な普及にはかなりの時間がかかると見られる。
充電インフラの整備も遅々として進んでいない。業界関係者の試算によれば、首都圏に設置されている充電スタンドは約1万3000基で、23区内には3000~4000基しかない。これに対し、面積が同程度の中国・深圳市では、すでに42万基以上の充電スタンドが整備されている。
メーカーもEV推進には慎重な姿勢を見せている。ジャパンモビリティショーでは、トヨタやホンダ、日産など主要メーカーのブースでメインとなっていたのは、依然としてガソリン車とハイブリッド車だった。各社ともにEV戦略を掲げているものの、事業の中心には据えられていないことが分かる。
市場環境はさらに手堅く保守的だ。2024年の日本の新車販売台数は約442万台で、その95%を国産ブランドが占めた。メルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲン、テスラ、BYDなどの海外ブランドは、残る5%でシェア争いを繰り広げているに過ぎない。
日本は自動車の輸入に関税を課していないものの、実際にはサプライチェーンや販路、金融、ブランドイメージに至るまで、強固で閉鎖的な「国内エコシステム」が存在しており、新規参入者にとって大きな壁となって立ちはだかる。
20年越しの潜伏戦略、バスで築いた信頼を乗用車へ電
BYDの日本市場での事業展開はすでに20年にも及ぶ。初期には電池事業で足場を築き、2015年頃に電動バス分野へ進出。現在では、日本の電動バス市場でトップシェアを誇る。乗用車事業は22年7月にスタートしたばかりで、まだ3年余りと歴史は浅い。
2025年秋の時点で、BYDが日本で販売したEVは累計7123台にとどまる。中国では、大都市で人気の1車種がわずか数日で達成できる規模だ。しかし、成長の兆しは見え始めている。25年1~9月の販売台数は2899台と、前年同期より66%以上増加し、この時点ですでに前年の年間販売台数を上回った。しかも9月には、単月の新規登録台数が初めて800台を突破し、過去最高を更新した。
BYDアジア太平洋地域の販売責任者を務める劉学亮氏は、日本参入時から、強気の販売目標は設けなかったと明かす。「短期的に販売台数が伸びないことは織り込み済みだった。数字を追いかけるより、まずは販売ネットワークの構築を優先した」。2025年末までにディーラー100店舗を展開する当初の計画に対し、現時点では約80店舗の達成を見込んでいるという。日本でまだマイナーな中国ブランドであることを考えると、十分に健闘していると言えよう。
今回のジャパンモビリティショーで、BYDは日本向けに開発した軽EV「ラッコ」や、初のプラグインハイブリッド車「シーライオン6 DM-i」を披露。あわせて「アット3」「ドルフィン」「シール」といったEVも展示した。商用車では、すでに日本各地で運用されている電動バス「J7」「K8」に加え、最新の電動トラック「T35」と小型電動バス「J6リビングカー」のコンセプトモデルを公開した。
“郊外一戸建て、40代”ーーBYDの日本ユーザー像とは・・・?
詳しくはCONNECTOのレポートにてご覧ください。
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