上場秒読みのコスメ「完美日記」、急成長を維持するも純損失180億円 目論見書から読み解く今後の課題(一)

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上場秒読みのコスメ「完美日記」、急成長を維持するも純損失180億円 目論見書から読み解く今後の課題(一)

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10月31日、中国発コスメブランド「完美日記(PERFECT DIARY)」を運営する「逸仙電商(YATSEN)」が米国証券取引委員会(SEC)に目論見書を提出し、ニューヨーク証券取引所への上場に向けて手続きを開始した。上場に成功すれば、米国上場を果たした中国の化粧品会社第一号となる。

上場後に幸先の良いスタートを切ることができるか、公開された同社の目論見書をひもといて先行きを占ってみたい。

評価額は4000億円超、大手VCなどが強力にバックアップ

逸仙電商は2016年に広州で設立され、現在の所、完美日記のほかコスメブランド「小奥汀(Little Ondine)」、スキンケアブランド「完子心選(ABBY’S CHOICE)」を傘下に抱えている。設立からそれほどたっていないものの、資金の調達状況は順調だ。

上場に向けて、完美日記は「ウォーバーグ・ピンカス(華平投資)」「カーライル・グループ」「正心谷創新資本(loyal Valley Capital)」などから新たに1億4000万ドル(約146億円)を調達した。これ以前には4度にわたって資金を調達しており、出資者には「真格基金(Zhen Fund)」「弘毅投資(Hony Capital)」「高榕資本(Gaorong Capital)」「ヒルハウス・キャピタル(高瓴資本)」などそうそうたる顔ぶれが並ぶ。

直近の資金調達後、評価額は40億ドル(約4200億円)に達し、わずか半年間で評価額が2倍に膨れ上がった。

4年間のうちに逸仙電商の評価額は1億ドル(約105億円)から40億ドル(約4200億円)へと驚異的な成長を遂げており、「資金集めの名手」と呼ばれているのもうなずける。目論見書によると、現時点で持株比率が上位の大株主はヒルハウス・キャピタル、真格基金、高榕資本で、保有比率はそれぞれ13.8%、10.5%、9.2%となっている。なかでもヒルハウス・キャピタルは5度にわたって出資しており、現時点で持株比率が最大の外部株主だ。

売上高は急成長を維持するも、純損失が180億円

2019年の純収入は30億3100万元(約473億円)で、前年比377.1%の大幅な増加となった。2020年第1~3四半期の純収入は、前年同期比73.2%増の32億7200万元(約510億円)だった。

2019年のGMV(流通取引総額)は前年比363.7%増の35億元(約550億円)に達し、今年第1~3四半期の売上高は38億元(約600億円)で、前年同期比70.2%増加した。しかも化粧品ビジネスは粗利率が高く、2018年から今に至るまで逸仙電商の粗利率は63%台をキープしている。

これらの数字には逸仙電商の急成長ぶりがよく表れている。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行に加え、新ブランドのプロモーション強化、製品開発や大規模出店のために巨額を投じたため、2020年第1~3四半期には11億5700万元(約180億円)の純損失を計上し、調整後の純損失も5億元(約78億円)にまで膨らんだ。

赤字に転じた背景には全体的なコスト増加がある。特に中国版ツイッター「Weibo(微博)」やソーシャルEC「小紅書(RED)」、アリババ傘下のECプラットフォーム「タオバオ(淘宝)」などでのマーケティングに巨額を投じたことが響いたとみられる。

続き:ハイブランド戦略でかさむマーケティング費用&克服すべき課題

(作者・美股研究<meigushe>、翻訳・畠中裕子)


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