オンライン教育「火花思維(Spark Education)」が創業3年で米国上場か コロナ特需後も成長維持かが鍵

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2020年はオンライン教育が急成長した1年であり、複数の中国企業が米国上場を目指している。例えば、「一起教育科技(17 Education & Technology)」は昨年12月にナスダックに上場し、「掌門(zhangmen.com)」も年内の上場を予定している。また、ロイター傘下の金融誌「IFR」によると、テンセントなどが出資する、創業わずか3年のオンライン数学的思考教育プラットフォーム「火花思維(Spark Education)」を運営する「心更遠科技(Spark Thinking)」が2億〜3億ドル(約200億円〜300億円)のIPOを目指しているという。

コロナ特需で好調な火花思維

一起教育と掌門はK12(幼稚園から高校生)教育であるのに対し、火花思維は小学生以下の「数学的思考力」の育成に特化している。それでも市場規模は大きく、調査会社の「艾媒諮詢(iiMedia Research)」によると、2020年の数学的思考力教育の市場規模は82.3億元(約1200億円)で、2021年には100億元(約1400億円)の大台に乗るという。

オンライン教育におけるライバルは多いが、火花思維の資金調達は順調で、これまで8回の資金調達を行っている。出資者にはテンセントのほか、IDG、セコイア・キャピタル、コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)などの世界的な投資会社もいる。

火花思維の資金調達歴

2020年も順調に資金調達を行えたのは、コロナ禍によるオンライン教育特需があったためだ。感染状況が特に深刻だった2020年3月は、オンライン教育のユーザーが4.2億人に達し、感染が落ち着いた6月でも3.8億人のオンライン教育ユーザーがいた。これは中国のネットユーザー総数の40.5%にあたり、2019年6月の27.2%から大きく上昇した。

複数回の資金調達後に上場を目指すのは自然な流れだ。では、火花思維は、資本市場にとって魅力的な企業になり得るのだろうか。

強力なライバルが続々と

オンライン教育業界には、すでに上場した上記2社のほか、インターネット大手も続々と参入してきている。また、教育大手の「新東方(New Oriental)」もオンライン教育を強化し、このほど小学生以下向けの新サービス「新東方Kids+」を発表した。火花思維は「数学的思考力」という特徴によって一定の知名度を持つものの、新東方とは比ぶべくもない。

また、数学的思考力に特化したことも、さらなる成長の足かせになる可能性がある。火花思維はすでに国語、英語コースを導入しているが、現時点では既存ユーザーの選択肢を増やしただけであり、新規ユーザーの獲得にはつながっていない。一方、K12教育や、子供向けプログラミング教育を行うプラットフォームのなかから、同様に「数学的思考力の育成」を謳うライバルが出てきている。強力なライバルを前に、影響力をどのように拡大していくのかが、同社にとっての大きな課題である。

顧客獲得に悩むオンライン教育

オンライン教育への投資は増えているが、それだけ金のかかる事業だということである。特に多数のプラットフォームが激しく競い合う現状では、顧客獲得のためのマーケティング予算が嵩んでいる。マーケティング分析会社の「APP Growing」によると、2020年11〜12月では、教育広告が広告全体の5.89%と7.63%を占めており、今も増え続けているという。

こうした状況は、既存ユーザーの紹介によって新規ユーザーを獲得し、広告に消極的だった火花思維にとって好ましいとは言えない。同社は2020年11月に初めて大々的に広告キャンペーンを行い、ショート動画プラットフォームなどに出稿した。こうしたマーケティングを続けていけば、当然利益を圧迫することになる。そのため、火花思維はまだコロナ特需が続いているうちに、上場によって資金を確保しておきたいと考えたのである。

しかし、オンライン教育の人気はあくまでコロナ特需によるもので、長続きできないという見方は根強い。どのように既存ユーザーを繋ぎ止めるのか、その成果によって、資本市場の評価も変化するだろう。

原作者:「美股研究社」(WeChat ID:meigushe)

(翻訳・小六)


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