生鮮食品の共同購入がついに大都市へ 帰省自粛の春節に大手各社が火花を散らす

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生鮮食品の共同購入がついに大都市へ 帰省自粛の春節に大手各社が火花を散らす

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中国で驚異的な成長を見せている住宅街向け共同購入サービスが、北京、上海、深圳など「一級都市」と呼ばれる大都市へと進軍しつつある。

先日、生活関連サービス大手「美団(Meituan)」の共同購入「美団優選(Meituan Select)」が北京市でサービスを開始した。ユーザーはアプリやミニプログラムを使って最寄りの受け取り地点を選択し、注文翌日に受け取ることができる。現時点で美団優選は全国20省あまりの300都市以上でサービスを提供している。

これまで地方都市をメインに展開してきた住宅地向け共同購入だが、今年に入り多くのプラットフォームが一級都市へと進出し始めた。1月には共同購入EC「拼多多(Pinduoduo)」傘下の「多多買菜(Duoduo Maicai)」とライドシェア大手「滴滴出行(DiDi Chuxing)」傘下の「橙心優選(Chengxin Youxuan)」がそれぞれ上海と北京でのサービスを開始した。アリババが出資する「十荟団(NiceTuan)」も間もなく北京に進出するという。

住宅地向け共同購入は育たないと見なされてきた一級都市で、新たな戦いの火ぶたが今まさに切られようとしている。

北の美団、南の拼多多

北京や上海などの一級都市では生鮮食品ECやコンビニチェーン、住宅地内の生鮮スーパーなど地元の生活関連サービスが充実しているため、住宅地向け共同購入が参入する余地は小さい。しかも忙しい都会の生活の中で、「翌日到着」や「自分で受け取り」という共同購入は魅力的には映らなかった。

このため二、三級都市をメインに拡大してきた住宅地向け共同購入だが、地方都市市場を主戦場としてきた拼多多が一級都市でサービス試行に踏み出した。情報によれば、多多買菜は上海でのサービス開始後数日で、予想を上回る好業績を上げたという。

多多買菜のページを開くとさまざまな格安商品が並んでいる。例えば上海市内の果物販売チェーン店では250グラム29.9元(約480円)で売られているチェリーが、350グラムで14.99元(約240円)とグラム単価では半分以下だ。

一方の北京では橙心優選、美団優選が進出を果たしたほか、十荟団が北京でのサービス展開に向けて人材募集を開始するなど、早くも混戦状態だ。

美団優選は多多買菜と同様、生鮮食品と日用品をメインに取り扱っており、新規割引やタイムセールなども豊富だ。さらに春節時期の帰省自粛の呼びかけに賛同して「春節中も休まず営業」を掲げ、期間中はさまざまなイベントも用意している。

多多買菜のページでも「正月用品」のタブが設けられ、さまざまな商品が盛んに販売されている。これから各社がさらに激しく火花を散らす「春節の陣」が始まろうとしている。

一級都市で生き残れるのか

一級都市に力を注ぐことで新たなビジネスチャンスをつかめるかもしれないが、不確実な要素も非常に多い。

クーポンなどの割引キャンペーンは一時的に大量のトラフィックを集めるが、北京や上海、深圳など大都市の消費者にとって重要なのは効率と品質だ。共同購入では野菜や果物を注文しても翌日にしか受け取れないが、北京では生鮮食品ECが1時間以内の配送サービスを打ち出し、「京東(JD.com)」や「天猫(Tmall)」などのEC大手もすでに大都市で2時間以内の配送を行っている。

自分で受け取りに行くというシステムも、1分1秒を争う会社勤めの人たちにとっては負担になる。しかも時間通りに届かないという声も多い。

地元の生鮮品ECやスーパーは住宅地でのプロモーションも盛んに行い、キャンペーンも展開しているため、住宅地向け共同購入が大都市に進出しても、利用者をつなぎ止められるかが課題となる。

一級都市でのサービス展開には課題が山積みだが、今年の春節は新型コロナウイルス感染症の影響で帰省できない若者が多いと予想されるため、共同購入プラットフォームとしてはこのチャンスを逃すわけにはいかない。

昨年末には、共同購入ビジネスのあまりの過熱ぶりに当局がガイドラインを設け警告を発するまでになった。ここで大手各社が一級都市に殺到して競争が激化すれば、また当局を刺激することになりはしないだろうか。
(翻訳・畠中裕子)

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