フォークリフトの自動化改造は最短2日間で 倉庫ロボット「Multiway Robotics」が数億円調達

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構内物流向けスマートソリューションでトップ企業を目指す「Multiway Robotics( 劢微机器人)」がこのほど、シリーズAで数千万元(数億円)を調達した。リードインベスターは「梅花創投(Plum Ventures)」、コ・インベスターは「Plug and Play」。資金はさらなる技術開発と市場開拓に充てられる。

同社は自社開発したコアアルゴリズムとソフトウエア技術を基盤としており、無人搬送車(AGV)と自律走行搬送ロボット(AMR)を販売するほか、改造による従来型フォークリフトの自動化や技術ソリューションの提供などを手掛けている。

世界のAGV市場は過去10年間、複合年間成長率 (CAGR) 16%で拡大しており、2020年には市場に出回るAGVが1300万台に達した。

一方、中国では2020年の従来型フォークリフト販売台数が70万台以上となり、コロナ禍に見舞われながらも19年の60万8300台からやや増加した。だが現在、人口の減少傾向や人件費の高騰などを受け、中国でもAGV市場が成長の兆しをみせている。

中国では従来、AGVの製造を従来型のフォークリフトメーカーとAGVメーカーが手掛けてきた。

従来型のフォークリフトメーカーは、自動運転の核となるアルゴリズムのほか、位置測定やナビゲーション、クラスタスケジューリングなどに関する技術を他社から提供されている。しかし、提供価格の高額さにも関わらず、自動化レベルや汎用性が低く、導入に時間がかかるという難点がある。

AGVメーカーは、自社開発および他社から提供を受けた技術を位置測定システムに利用し、単純なコントロールシステムとスケジューリングシステムを補っているため、大規模で複雑なプロジェクトを実施する能力が不足している企業も多い。

Multiway Roboticsは既存メーカーとは異なり、核心的なソリューションを完全に自社開発しているため、コストパフォーマンスの高い製品を提供できる。従来型フォークリフトの改造では、所用時間を1週間以内、最短2日間に短縮した。

同社の主な技術的強みは三つ。一つ目はフォークの上昇限度で、一般的な4.5メートルよりはるかに高い10メートル以上に引き上げた。二つ目は走行速度で、同種のAGVでは限界だった毎秒1.5メートルを大きく上回る毎秒3メートルとした。三つ目は車両位置測定の精度で、提携企業と共同開発したリモートセンシング技術「LiDAR(ライダー)」に、自己位置測定と環境地図作成を同時に行う「ビジュアルSLAM」システムを組み合わせた柔軟性のある位置測定ソリューションで高精度を実現した。誤差は1回目の測定で5ミリ以内、2回目は2ミリ以内と業界平均の10ミリよりはるかに優れている。

複数のAGVを連携させるシステムにも優位性がある。競合他社は通常、クラスタスケジューリングシステムをクラウド上に配備するため、施設内の通信環境に高いレベルが求められる。一方、Multiway RoboticsのAGVは、内部に車載オペレーションシステムを搭載しており、クラスタスケジューリングシステムとの通信に問題が発生してもAGVが自律的に安全性を確保できるため、高度な通信環境を整える必要がなくなる。

ナビゲーション・システムについては、動的軌跡と全体計画およびオペレーションズ・リサーチ(OR)によるクラスタスケジューリングに基づき、動的スケジューリングやビジュアルセンサーによるリアルタイム計画をサポートし、効率の高いスケジューリングとナビゲーションを可能にしている。

障害物回避については、モニタリング、アクティブセーフティおよびパッシブセーフティから成る安全システムを備えている。全車両のセンサーや機器に対するリアルタイムモニタリングシステムを採用しているため、機器に問題が発生した場合は停車させることができ、追突などの二次事故を防ぐ。また、音声と照度を組み合わせたアクティブセーフティを採用しており、車両の影を地面に投影することで作業員の飛び出し事故を防ぐ。さらに、最も安定性の高いLiDARを採用し、その他各種センサーと組み合わせ、障害物を回避する。

Multiway Roboticsのソリューションは、すでに工場や物流基地、各種保管施設などで活用されている。同社はさらに、複雑な活用シーンに合わせ、在庫の保管場所やパレットの状態などを視覚的に確認するさまざまな技術を開発している。

Multiway Roboticsは本社を広東省深圳市に構え、江蘇省蘇州市や遼寧省瀋陽市をはじめ各地に販売・サービスセンターを設置している。従業員は約100人で、その大半が開発に携わっている。幹部はいずれもロボットやAGV、インテリジェント無人搬送車(IGV)のほか、自動運転などの分野に携わってきた。同社は現在、特許100件近くを保有しており、著作権を保有するソフトウエアは15件に上る。

創業者の陳文成CEOは、中国国内はもとより海外でも市場開拓を加速する方針を明らかにしている。今後はサービスセンターの設置エリアを増やすと同時に、海外のシステムインテグレーターや代理店とも提携し、世界中をカバーする販売ネットワークとサービスシステムを構築していくという。(翻訳・田村広子)

 

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