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新興EVメーカーの「威馬汽車(WM Motor)」は、創業以来12回、総額300億元(約4800億円)の資金調達を行っており、1月29日には科創板(スターマーケット)への上場を申請した。順調に上場できれば、威馬汽車は初の科創板上場の新興EVメーカーとなる。しかし、同社の経営状況は決して順調ではない。
増収も赤字は膨らむばかり
威馬汽車はこれまで、政府系ファンド、著名なVCやPE、自動車産業の企業、インターネット大手から資金調達をしてきた。資金調達が順調だった要因の一つは、同社が自社工場で生産することにこだわったことだ。威馬汽車の創業者沈暉氏によると、米国にはかつて4社の有力EVメーカーがあったが、生産を外部委託した3社はすでに撤退し、自社生産にこだわったテスラのみが順調に成長している。そのため、威馬汽車は2018年1月に「中順汽車控股(Zhongshun Automobile Holdings)」を買収し、自動車の製造ライセンスを取得した。
しかし、威馬汽車の販売台数は伸び悩んでいる。2019年は「蔚来(NIO)」に次ぐ国内2位となり、1万6800台を販売した。2020年には2万2500台と台数こそ増やしたものの、ランキングでは国内4位に後退し、蔚来、「小鵬汽車(Xpeng)」、「理想汽車(Li Auto)」の後塵を拝する格好となった。
純利益も低迷している。2017〜2019年及び2020年9月までの威馬汽車の売上高はそれぞれ1487.17万元(約2億3800万円)、7.2億元(約120億円)、17.8億元(約280億円)、16.8億元(約270億円)となっている。赤字はそれぞれ16.96億元(約270億円)、24.53億元(約390億円)、36.08億元(約580億円)、36.49億元(約580億円)で、4年間で100億元(約1600億円)以上の赤字だ。
ほかの新興EVメーカーの2020年1月〜9月の業績を見ると、蔚来が41.19億元(約660億円)の赤字、理想汽車が1.07億元(約17億円)の赤字、小鵬が11.49億元(約180億円)の赤字だった。
威馬汽車の業績低迷の要因は、販売戦略によるところが大きい。同社はミドルレンジの価格帯の車種を中心としており、価格は15万〜25万元(約240万円〜400万円)となっている。販売エリアは、高価なテスラや蔚来のように大都市中心ではなく、地方都市をメインとする。
しかし、地方都市はライバルがひしめき合う激戦区だ。フォルクスワーゲン、BYD、「広州汽車(GAC)」、「長城汽車(Great Wall Motor)」も同価格帯の車種を販売しており、その上ブランド力、生産力はともに威馬汽車を上回る。さらに、2020年9月下旬から、わずか40日で威馬汽車の「EX5」が4回も発火事故を起こしたことも同社のイメージを大きく傷つけた。
威馬汽車はより高価な車種も準備しており、2020年5月に28.88万元(約460万円)で「EX6」を発売した。しかしすでに安定した地位を固めたライバルの前では歯が立たず、5カ月間の販売台数はわずか259台にとどまった。
威馬汽車が標榜するスマートカーの実力も先行きが不透明だ。同社はバイドゥ(百度)の自動運転システム「Apollo」を採用しているが、バイドゥは自社で自動車を製造することを先日に発表したばかりだ。となれば、バイドゥが自動運転技術を優先的に自社に供給し、威馬汽車がその影響を受ける可能性がある。さらに、バイドゥはApollo提供の条件として、威馬汽車が自動運転システムを自社で開発することを禁止している。そのため、同社が今から開発をはじめても、蔚来、小鵬に追いつくことは絶望的だ。
総合的に見れば、威馬汽車が上場に成功すればある程度ブランド力が高まり、販売台数を押し上げるだろう。しかし、売上台数と販売戦略などの課題を解決しない限り、いずれ投資家に見放されてしまうだろう。
原作者: 「節点財経」(Wechat ID:jiedian2018)
(翻訳・小六)
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