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中国生鮮食品ECが次々と米国上場を計画 勝算はあるのか?

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近ごろ、中国の生鮮食品EC業界のユニコーン企業が米国上場を検討しているというニュースが出回り、多くの人が関心を寄せている。

ブルームバーグは2月18日、上海を拠点とする生鮮食品EC「叮咚買菜(Dingdong Maicai)」が早ければ年内にも米国で新規株式公開(IPO)を実施して少なくとも3億ドル(約325億円)を調達すると報じ、競合する「毎日優鮮(Miss Fresh)」と中国生鮮EC初の上場企業の座を争うことになるという。

現在、生鮮食品ECにはアリババ、「京東(JD.com)」、「拼多多(Pinduoduo)」、「美団(Meituan)」などIT大手が軒並み参入しているが、この市場を制した企業はまだない。

生鮮食品市場で生き残るのはどの企業か。

叮咚買菜は上場を機に資金繰りを改善したいとの狙いがある。2020年の新型コロナウイルス感染拡大により、オンライン消費が一気に増えた。客観的にみれば、生鮮食品ECにとっては大きく成長するチャンスだ。Fastdataのデータによると2020年6月時点の生鮮食品EC取引額は1821億2000万ドル(約19兆8000億円)に上り、2019年通年の取引額をすでに超えている。

感染症拡大の下、叮咚買菜など生鮮食品ECプラットフォームのユーザー数は明らかに増加している。「極光大数據(AURORA)」のデータによると、叮咚買菜の2020年の月間アクティブユーザー(MAU)は平均5317万人、年間成長率は89%に及ぶ。事業拡大の勢いを維持するため、叮咚買菜はこれまでに多くの資金調達を行ってきた。出資者には、「セコイア・キャピタル・チャイナ(紅杉資本中国基金)」「華人文化産業投資基金(チャイナ・メディア・キャピタル)」「ベルテルスマンアジア投資基金(Bertelsmann Asia Investments)」などが名を連ねている。2020年5月には「ジェネラルアトランティック(General Atlantic)」から3億ドル(約325億円)の資金調達を終え、評価額は20億ドル(約2200億円)に達している。生鮮食品ECは短時間で配送できるよう住宅地近くに店舗兼倉庫を置く「前線倉庫」を採用しているが、このビジネスモデルの伸びに期待したものとみられる。

一方の毎日優鮮もただ手をこまねいているだけではない。すでにIPO計画を始動してから一定時間がたっている。同社は2014年に創設、半年後にはテンセントのお眼鏡にかない、2020年12月時点ですでに8回の資金調達を終え、うち5回がテンセントがらみの資金調達だ。創設から現在まで、発行市場において調達した資金は21億ドル(約2300億円)を下らない。

毎日優鮮CFOは2020年の取材で、2019年末に黒字転換を果たしたと述べている。

毎日優鮮と叮咚買菜にしてみれば、先に上場をしたものが市場の価格決定権を握り、より多くの資金の調達できることになる。

困難だらけの叮咚買菜に勝算はどのくらいあるのか。

生鮮食品ECにとってのコアコンピタンスは前線倉庫モデルだ。叮咚買菜は、前線倉庫を居住地域コミュニティ周囲1キロとし、しかもユーザー像とスマートリコメンド機能によってユーザーごとにおすすめ商品を提案する。自社の宅配チームによって29分以内に配送されるシステムだ。

このモデルは低コストで顧客満足度も高いが、限界もある。

一つ目が、地域が限られることだ。今後の市場争奪戦においては、叮咚買菜の前線倉庫、自社宅配システム、ユーザー像などは地域的な強みがある一方で、市場拡大には制約がかかることになる。

二つ目に、叮咚買菜は生鮮食品ECに特化したプラットフォームで、ユーザー数において明らかに劣勢であり、集客コストが割高になる。米投資コンサルティング「Bill」の「2020年6月生鮮食品ECアプリアクティブユーザー数」によると、叮咚買菜のMAUは165万4000人で7位、一方の毎日優鮮は759万8000人で4位、上位は大手ECプラットフォームの独壇場になっているという。

(提供元:Bill)

集客において叮咚買菜は、割引以外に方法がなく、これが企業の資金繰りにとって大きなプレッシャーとなっている。EC大手の京東、アリババ、テンセントなどは膨大なアクセス件数と潤沢な資金を有しており、運営においても今後の市場拡大においても、先天的な強みを有していると言ってよい。

地域コミュニティの共同購入も急成長している。2020年12月初めには、「十薈団(NICETUAN)」がアリババをリードインベスターとして、シリーズC-3で1億9600万ドル(約210億円)を調達している。十薈団は20省の220都市をカバーし、60万人余りの共同購入責任者を抱え、その傘下に数千万人のユーザーがいる。

資金をつぎ込んで業務拡大を狙う叮咚買菜は優位な立場にはない。とはいえ上場すれば、同社にとってはプラス材料となる。生鮮食品EC業界も後半戦に突入するにあたり、単純に割引などで集客するだけではユーザーの定着率を築きにくい。企業には「金をつぎ込む」方法を改め、実行可能な黒字化への道を模索することが求められている。

作者:美股研究社

(翻訳:lumu)

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