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スマホ・IoT家電大手のシャオミ(小米)が自動車の製造を開始するのは決定的だと見られる。消息筋によると、早ければ1〜2カ月の内にも正式にプロジェクトが始まり、価格帯はミドルレンジからハイエンドになるという。担当者はシャオミの共同創業者でCTOの王川氏になる見込みだ。王氏はシャオミのテレビ製造事業を担当していたことがある。
王氏はシャオミの代表として自動車業界の人材、技術サプライヤー、製造工場などと交渉している最中だ。人材については、自動車業界の他社の重役クラスをシャオミの自動車事業CEOに任命する可能性があるとされているが、この点についてはまだ確かな情報がない。技術サプライヤーについて言うと、自動運転関連企業、特にチップやLiDARを開発する企業へ出資するという形になる可能性が高い。製造工場では、「宝沃汽車(Borgward Automobile)」、「開雲汽車(Kaiyun Motors)」などとコンタクトをとっていたことがわかっているが、宝沃汽車との交渉はすでに中止されたようだ。消息筋によると、シャオミはEVメーカーのBYDとの提携を検討していたが、現在は一定の実力を持ちつつシャオミの事業に全力を傾けてくれるパートナーを探しているという。
自動車製造に乗り出すスマホメーカーはシャオミだけではない。最も注目を集めているのはなんといってもアップルだ。中国国内ではファーウェイが自動車向けのフルスタックソリューションを発表し、これを搭載した車にはファーウェイのロゴが載ることになっている。さらにファーウェイの任正非CEOは、昨年11月に「今後3年間自動車製造を始めることはない」と社内向けの声明を発表したが、裏を返せば、3年後に自動車製造を始める可能性があり、今はそのための準備期間だとも読める。こうした強力なライバルが存在するため、シャオミは一刻も早く正式に自動車製造をスタートさせたいのだろう。
また、外部環境の変化も無視できない。米国は今年1月15日に「中国軍との関係が深い」ことを理由に、9社の中国企業への証券投資を禁止した。シャオミもその中の1社であり、米国の投資家は今年11月11日までにこの9社の株式をすべて手放さなければならない。シャオミはこの禁止令を不服として提訴しており、今年3月13日に米連邦裁判所がシャオミへの禁止令の執行停止を決定したが、これはあくまで暫定的な措置だ。業界関係者は「ファーウェイはスマホ事業の『honor』を手放しても十分な収益力を持つが、シャオミはスマホ事業がつまずけば会社全体が存亡の機に立たされる」と見ている。そのため、今後の外部環境のさらなる悪化を懸念して、シャオミはスマホ以外で会社を支えることのできる事業を求めている。
その有力候補が自動車だ。世界的に見た場合、自動車はスマホよりはるかにに大きな市場であり、特に新興EVメーカーの成長が著しい。その分、企業間の競争も激しい。2020年以降だけでも、「蔚来汽車(NIO)」、「小鵬汽車(Xpeng)」、「理想汽車(Li Auto)」がともに300億元(約5100億円)以上を調達した。今、自動車事業を始めなければ、シャオミのようなテック大手でもタイミングを逸する可能性がある。そのため、シャオミはしばらくの間、急ピッチで自動車事業を進めていくことだろう。
(翻訳・小六)
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