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越境ECを手掛ける「洋碼頭(Ymatou)」がシリーズD+で「盛世投資(Prosperity Inevestment)」から数億元(数十億円)の資金を調達したことがわかった。盛世投資はFOF(ファンド・オブ・ファンズ)で、かつて大手VC「啓明創投(Qiming Venture Partners)」「聯想投資(Legend Capital、2012年に君聯資本へと名称変更)」「松禾資本(Green Pine Capital Partners)」などに出資している。洋碼頭の前回の資金調達は2020年1月で、中国ソーシャルメディア大手「新浪微博(Weibo)」からシリーズDで数億元(数十億円)を調達している。
中国における越境ECの歴史はまだ浅いが、その成長スピードには目を見張るものがある。2019年の市場規模はすでに2兆4700億元(約41兆円)に達しており、ネットを利用して海外サイトで買い物をするユーザーは1億2500万人を超えている。
巨大な市場は多くの企業を惹きつけているが、中でも洋碼頭は設立が比較的早く、2009年にオンラインプラットフォームをリリースしている。2015年前後にはアリババの越境EC「Tmall Global(天猫国際)」、IT大手ネットイース(網易)傘下の越境EC「網易考拉(ネットイースコアラ)」、EC大手京東(JD.com)の越境EC「京東全球購(JD Worldwide)」など大手が参入し、越境ECの競争は最も激しい段階に入った。2019年には当時越境EC2位のアリババが1位の網易考拉を買収したことにより、業界の勢力図に大きな変化が生まれた。
通常、ユーザーが越境ECプラットフォームを選択する時に考慮する点は、商品が正規品であるかどうか、価格、品揃えの豊富さの三点だ。中国の大手越境ECは大部分がB2CもしくはC2C方式を採っているが、それぞれメリット・デメリットがある。
B2C方式の網易考拉を例に挙げると、品質とサービスは保障されているが出店には多額の資金が求められ、品揃えの豊富さは実現が難しく、在庫を抱える負担も大きい。洋碼頭はC2C方式を採用。バイヤーの力を借りて商品をバラエティ豊かに揃えられ、資金の負担も小さい。しかしバイヤーのサービス基準が統一されておらず、ユーザー体験を確保するのが難しいというデメリットもある。
洋碼頭には8万人ものバイヤーがいるという。注意すべきなのは、ここで言うバイヤーはいわゆる代理購入とは異なることだ。ちまたに数多くいる中小規模の代理購入は正規の事業者ではないが、洋碼頭が擁する中国国内のバイヤーは一般的には貿易会社である。代理購入は買い手のリクエストに基づいて商品を買い付けるが、バイヤーはトレンドを予想して自ら商品を選択する必要がある。仕入れチャネルのほかに商品の選択眼が試されるのだ。
公式データによると、洋碼頭では2020年1月時点で世界83カ国から100万点もの商品が購入可能だという。高級ブランド品や、アフォーダブル・ラグジュアリー(手に届く高級品)、宝石、日用品及び各国のニッチ商品など多岐にわたる。2019年からは海外通販のライブコマースに力を入れるようになり、平均客単価は通常400元(約6700円)程度だが、ライブ配信ルームの客単価は1500元(約2万5000円)を超えるようになった。
昨年の越境ECは輸出ではコロナ特需に湧いたが、輸入では大ダメージを受けた。しかし長期的に見て、中国の90後・00後(1990年代、2000年代生まれ)の若い消費者グループが台頭すれば、海外の商品を購入するニーズはさらに広がり、かつ個別化していくだろう。しかし実際に中国に入ってくる海外の商品はその一部に過ぎず、いまだに満たされていないニーズも多い。
過去10年間、越境EC業界のインフラはまだ建設段階にあった。サプライチェーン、物流などのプロセスが完成に近づき、消費者の認知度も向上するにつれ、将来的に大きなポテンシャルを秘めるに至った。しかし洋碼頭にとって、大手企業がひしめき業界の密度がますます高まるなかで、いかにして差別化をはかり若者の人気を獲得するかは大きな課題である。
(翻訳・山口幸子)
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