ジャック・マーらに続き拼多多創業者も引退 中国ECの覇権争いは新時代へ突入(二)

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ジャック・マーらに続き拼多多創業者も引退 中国ECの覇権争いは新時代へ突入(二)

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3月中旬、共同購入型格安EC「拼多多(Pinduoduo)」が2020年第4四半期(10~12月)の決算報告を発表した。年間利用者数は7億8800万人となり、アリババの7億7900万人、京東(JD.com)の4億7200万人を超えて中国国内で最も利用者数の多いECプラットフォームとなった。なお決算報告発表の際、創業者の黄崢(Colin Huang)氏が董事長を辞任すること、現CEOの陳磊氏が兼任というかたちでその後を継ぐことが発表された。

アリババ創業者のジャック・マー氏(56歳)、京東創業者の劉強東氏(48歳)に次いで41歳の黄崢氏も引退することとなり、中国三大ECの創業者がそろって一線を退いたことになる。その後継者である陳磊氏(拼多多CEO)、蒋凡氏(アリババ傘下ECモール「天猫(Tmall)」「淘宝(タオバオ)」総裁)、徐雷氏(京東小売部門CEO)が率いる三大ECの勢力図は今後10年でどう変化していくのだろうか。

陳磊氏、蒋凡氏、徐雷氏

前篇:拼多多:道のりはまだ厳しい

淘宝、天猫:新しい集客チャネルを開拓

昨年KOLとのスキャンダルが明らかになるまで、蒋凡氏のビジネスライフは順調そのものだった。上海の名門復旦大学を卒業後、グーグル中国に就職。グーグルマップなどの開発に携わった後、辞職して企業データサービス「友盟(Umeng)」を起業。友盟がアリババに買収された後、同氏はアリババ社内で主要メンバーとして大きな成果を上げてきた。

蒋凡氏は淘宝を率いて、成長中のEC市場を大胆に攻め、淘宝アプリを世界最大のモバイルECプラットフォームにした。2017年、蒋凡氏は淘宝総裁となり、正式に淘宝を引き継ぐ。2019年には天猫総裁を兼任、デジタルマーケティングプラットフォーム「Alimama(阿里媽媽)」をも担当。同年末にはアリババのパートナーとなったが、同氏は当時34歳。38人いるアリババパートナーの中で最年少となった。

スキャンダル発覚後、蒋凡氏はアリババパートナーから除名されたものの、役職にはそのまま留まっている。

ユーザー数が頭打ちになった時、どのようにして成長を維持し、自身の強みを安定させるのか。飽和市場でどのようにユーザーを定着させ利用時間を伸ばすのか。これらは淘宝が向き合うべき課題だ。この点をふまえ、昨年淘宝アプリではトップページの大型リニューアルを行っている。

淘宝は猛追してくる拼多多以外にも、「抖音(Douyin、海外版は「TikTok」)」「快手(Kuaishou、海外版Kwai)」などショート動画プラットフォームとのトラフィック争奪戦を繰り広げなければならない。

1年前、生活関連サービス大手「美団(Meituan)」の創業者である王興氏が微信(WeChat)のモーメンツで「今後数年間は拼多多の黄崢CEOと淘宝の蒋凡総裁の力比べが見ものだ。蒋凡氏が勝てば、次期アリババCEOの座は固いだろう」とコメントしている。

王氏が言及した黄崢CEOは陳磊CEOへと変わったものの、拼多多の年間利用者数が淘宝を越えた今、両社の戦いは重要な局面を迎えている。

京東:地方市場とライブコマース

昨年6月18日、京東は香港でセカンダリー上場を果たし、同株式市場で年間最大のIPOとなった。そこで創業者の劉強東氏に代わって銅鑼を鳴らしたのが徐雷氏だ。

徐雷氏は「今日資本(Capital Today)」創業者の徐新氏の推薦で京東のCMO(最高マーケティング責任者)となり、2019年に京東小売部門のCEOに就任した。

京東がずっと注力し、また同社の強みともなっているのはサプライチェーン技術だ。徐雷氏は昨年「中国企業領袖年会(China Entrepreneur Summit)」で、京東はインターネット企業ではなく、サプライチェーンを基盤とした技術とサービスを提供する会社だと発言している。自身のサプライチェーンを強化しつつ、より多くのトラフィックを獲得することが京東の課題だ。地方市場に集客を求めるなかでライブコマースは避けて通れないだろう。

京東の2020年第4四半期の決算報告によると、利用者数は1億1000万人の増加でそのうち8割は地方市場から来ているという。これは地方市場を主力戦場とする共同購入サービス「 京喜(Jingxi)」によるところが大きい。

地方市場への投資も強化している。昨年は共同購入サービス「京東優選(JD Youxuan)」をリリースしたほか、新鮮野菜EC「美菜網(Meicai)」の買収、共同購入サービス「興盛優選(Xingsheng Youxuan)」への出資などを行った。

ライブコマースの集客力は明らかだ。徐雷氏も昨年5月には自らライブコマースで不動産を販売している。わずか1時間で視聴者は400万人を超え、取引額は26億元(約440億円)に達した。同月、京東と快手が提携したのもその集客力が狙いであることは疑いない。快手では京東の商品を直接購入することができ、配送やアフターサービスなども利用できるという。

写真:インターネットより

タトゥー、ピアス、カジュアルファッション…企業家に対する一般的なイメージを打ち破った徐雷氏のリードのもとで京東も変化を遂げている。これに伴った業績も目を見張るものがある。決算報告によると、2020年第4四半期、京東の売上高は前年同期比31.4%増の2243億2800万元(約3兆7900億円)に達した。

時価総額では拼多多に追い抜かれ、古くからのライバルであるアリババとの差もなかなか縮まらない。快手、抖音などショート動画プラットフォームが行うライブコマースも台頭してきている。京東がどのようにして集客力を高め血路を開いていくかが徐雷氏の課題だ。

EC業界の過去10年を概観してみると、淘宝は服飾・化粧品、京東は3Cデジタル機器(パソコン、通信機器、家電製品)、拼多多は農産物とすでに三つ巴の様相を呈している。

リーダー交代後の10年は後継者同士の新たな戦いとなるだろう。勝利を収めて新しいECの王者となるのは一体誰だろうか。
(翻訳・山口幸子)

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