VRと実写映像をリアルタイムに融合 次世代動画制作ツール「Soom」、利用シーンも多様化

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VRと実写映像をリアルタイムに融合 次世代動画制作ツール「Soom」、利用シーンも多様化

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ショート動画制作プラットフォーム「来画(LAIHUA)」が今年1月にシリーズB3で1億6600万元(約27億5000万円)の資金を調達したことがわかった。「真成投資(Zhencheng Investment)」がリード・インベスター、「英飛尼迪資本(Infinity Capital)」がコ・インベスターを務めた。同社がこれまでに調達した資金は合計約5億元(約83億円)となった。

来画は2015年7月に設立され、「来画動画」など多くのツールをリリース、さらにクリエイティブサービスプラットフォームである「来画夢工場」を設立した。注目すべきなのは、中国では半数以上のショート動画が来画を利用して制作されていることだ。同社は星座占いで微博(Weibo)から人気に火が付いた「同道大叔(TongDaoDaShu)」、バラエティー番組「快楽大本営(Happy Camp)」、トーク番組「火星情報局(Mars Intelligence Agency)」などと提携しており、ネットでの再生回数は100億を超えるという。

今回36Krが注目したのは同社の新製品「来画Soom」だ。これは実写動画とバーチャルシーンを融合した中国初のAR(拡張現実)ビデオデモンストレーションツールだ。実際の人物によるデモンストレーション、ビデオ会議、ライブ配信、録画を同時に行える「一石四鳥」の製品でもある。

来画Soom公式宣伝動画より

来画Soomはただのツールではなく、カスタマイズによりユーザー体験を上げることに、より重点を置いている。カスタマイズ創作は将来的に大きな需要が見込まれるだろう。同製品の特徴としてはまず、動画内の人物をリアルタイムにトリミングし、豊富なバーチャル背景(室内、屋外、アニメーション等)と融合することができる点が挙げられる。同時に、来画Soomにはデバイス内の写真、パワーポイント、来画動画に保存した下書きなどをインポートすることができ、現実のシーンとコンテンツを完璧に融合することが可能だ。

来画Soomを利用してオンラインで業績報告を行う海外ユーザー

また、来画Soomでは人物を拡大、縮小したり隠すこともでき、好きな位置に移動することもできる。複数のプラットフォームでの同時ライブ配信や、ビデオ会議アプリとの接続、デモンストレーション動画の録画、コンテンツの動的な展示など多様なシーンでのニーズに応えることができるという。

例えばリモート会議の場合、従来のビデオ会議アプリでは画面シェアの機能を使わないとパワーポイントが表示できず、パワーポイントを表示する際には人物を非表示にしなければならなかった。来画Soomは人物とパワーポイントの表示を同じ画面で行うことを可能にした。この機能により、あらゆるビデオ会議アプリのペインポイントを解決し、リモート会議をより効率的にするだけでなく、ビデオデモンストレーションをより面白いものにした。

来画Soomを通してビデオ会議ツールに接続するユーザー

ビデオ会議以外にも、教育や研修、Eコマースライブ、ビデオ履歴書による応募など多くのシーンに利用することができる。特にライブ配信では来画Soomを開くだけで、50ものライブ配信アプリを同時に利用することができる。ライブ配信者は10数台のスマートフォンを用意したり、その他のライブ配信設備を利用する必要がなくなる。一台のパソコンと来画Soomさえあれば多くのライブアプリが利用できるからだ。

動画デモンストレーションという市場ニーズにうまく応え、来画Soomは3カ月という短期間で海外に10数万ものユーザーを獲得している。顧客の中にはユニリーバやメルセデス・ベンツなど有名企業も含まれている。昨年の売り上げは260%以上増加し、損益均衡を果たした。

来画の創業者でもある魏博CEOによると、来画Soomはテンセントの「騰訊会議(Tencent Meeting)」、アリババの「釘釘(DingTalk)」、ZOOMなどのビデオ会議アプリと接続が可能で、抖音(Douyin、TikTokの本国版)、ゲーム実況アプリ「虎牙(HUYA)」、「ビリビリ動画(bilibili)」など、よく使われている動画アプリの大半と接続が可能だという。

来画Soomが接続できるビデオ会議・ライブ配信アプリ

同社の強みは、製品の機能面以外にそのテンプレートと素材にあると魏CEOは考えている。特に正規版のビジネス用素材だ。来画は5年間で1600万以上の素材を蓄積してきた。2万以上のテンプレートは中国最大のショート動画素材版権ベースだ。

ユーザー体験をより向上させるため、来画は一台で三つの機能を持つハードウエアを生産している。美顔アプリ対応の4Kカメラ、モバイルバッテリーと三脚が一体となっているものだ。

魏CEOはまた「我々は成都に100人余りのイラストレーターを抱えており、中国トップレベルのIPを制作したこともある。バイドゥ(百度)の動画辞書『秒懂百科』のうち半数の動画は来画が制作したものだ。商品こそが企業のコアコンピタンスであり、真に良い商品を作っている企業が失敗したのを見たことが無い」と話した。

魏氏は同社のCPO(最高製品責任者)でもあり、来画Soomの製品デザインを主導した。来画の本社は深圳市にあり、そのほか香港、北京、上海、成都、青島、長沙、武漢など中国18カ所に拠点を持つ。従業員は320人を超えるという。

(翻訳・山口幸子)

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