EV産業の急成長の裏で動力電池不足が深刻化 業界再編が進むか

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中国自動車工業協会の集計によると、今年1〜4月の中国の新エネルギー車の生産台数は前年比2.6倍の75万台、販売台数は前年比2.5倍の73.2万台と、ともに70万を超えた。また、中国自動車動力電池産業連盟の集計では、1〜4月の動力電池の設備容量は31.6GWhとなり、前年比241%となった。

しかし、好調さを示すデータの裏には、新エネルギー車の成長を阻む危機も潜んでいる。動力電池へのニーズが増え続けているため、現在の生産キャパシティでは対応しきれなくなっているのだ。自動車産業全体を悩ませる半導体不足が未解決な状況で、さらに動力電池の不足がのしかかった格好だ。

浮き彫りになる電池不足

厳密にいえば、中国の新エネルギー車産業の動力電池不足は今に始まったことではない。2015年の時点ですでに高品質の電池が不足していたのだ。しかし、当時は電池性能が悪くても自動車メーカーに採用されたため、それほど重大な問題として捉えられていなかった。

しかし、新エネルギー車産業が大きく成長し、各メーカーとも製品力のさらなる向上を求めて、より高い安全性とエネルギー密度を持つ電池を使用するようになった。その過程で技術力の低い電池メーカーが淘汰され、注文がトップ企業に集中するようになったため、生産キャパシティが不足するようになったのだ。

ある新興EVメーカーは今年3月に、4〜7月期は半導体不足よりも動力電池不足のほうが心配だと話していた。特に100KWhの動力電池の不足が深刻であり、「小鵬汽車(Xpeng)」の創業者はできるだけ早期に出荷してもらうために、動力電池大手の「寧徳時代(CATL)」へ出向き一週間待ち続けたという。

進む動力電池業界の再編

新エネルギー車産業全体から見れば、動力電池不足は一時的なこととなるだろう。しかし、この電池不足により動力電池企業の再編が進む、あるいはバッテリー交換式のEVの普及が後押しされる可能性がある。

再編の兆候は2020年の動力電池設備容量上位各社のシェアに顕著に表れている。上位3社は寧徳時代、韓国のLG化学、パナソニックで、設備容量がそれぞれ35.39GWh、30.91GWh、27.51GWhとなっているが、この3社だけで、世界の動力電池の68.9%のシェアを持つのだ。

第4位のBYDの設備容量とシェアは現時点では上位3社の相手にならないが、自社でEVを開発しているため技術力に優れ、今後成長する可能性がある。しかし、それ以外の各社は未だに技術面でのブレークスルーがない。このままでは淘汰されるしかないだろう。

原作者:「鋒出行(WeChat ID:fengchuxing2021) 小猿曰車

(翻訳・小六)

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