アリババが事業再編 激戦区の生活関連サービス事業を統合

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アリババグループのダニエル・ チャン(張勇)CEOが今月2日、社内通達で組織変更を発表した。

フードデリバリー「餓了麼(Ele.me、ウーラマ)」と生活関連サービスプラットフォーム「口碑(koubei)」を統合した地域生活サービスの「阿里本地生活服務(Alibaba Local Services)」と、地図情報サービス「高徳地図(Amap)」、旅行プラットフォーム「飛猪(Fliggy、フリギー )」を生活サービス部門に集約し、兪永福氏がトップを務める。

ECモール「天猫(Tmall)」は、ネットスーパー「天猫超市(Tmall Mart)」と天猫輸出入事業グループを統合して新たに天猫超市および輸出入事業グループとし、劉鵬氏が統括する。最高収益責任者(CRO)、最高顧客責任者(CCO)は最高リスク管理責任者(CRO)の鄭俊芳氏が兼任する。

アリババが事業の統合を進めるのは今回が初めてではない。アリババは近年、競争力向上のために複数の関連事業を統合して高度に連携させてきた。クラウドインテリジェンス事業グループやB2B事業グループもこの管理モデルを採用していた。

今回の組織変更の目玉は、地域生活サービス事業を生活サービス部門へ格上げさせたことだ。

組織変更後、餓了麼、口碑、飛猪、高徳は一事業部門の傘下に収まったが、長年個別に運営してきた各事業をいかに効果的に連携させるかが課題だ。アリババは15年に高徳を買収後、高徳とアリババ傘下の各事業との連携について検討を重ねたが、方針が決まらなかった。

アリババはかつて、阿里本地生活服務と決済サービス「アリペイ(支付宝 )」を運営する「アント・グループ(螞蟻集団)」の連携を深める戦略を取った。昨年初め、アント・グループの当時のCEOだった胡暁明氏は両事業の一層の連携を図ったが、後にアリペイはデジタルサービスに事業の軸足を移していった。ところが、昨年11月にアント・グループは上場延期となり、今年3月には胡氏がアント・グループCEOを退任し、アント・グループは広範囲での業務調整に迫られている。

組織変更の目的は、阿里本地生活服務が担ってきた地域生活サービス事業を生活サービス部門としてに格上げすることで事業構想や人員を調整し、熾烈な競争に立ち向かうことだろう。

アリババは、18年に餓了麼を全額出資により買収して地域生活事業を立ち上げた。初代トップ王磊氏の下で事業方針が揺れた間にライバルの「美団(Meituan)」は香港市場に上場し、今や株価は4倍に上昇している。

現在、アリババの主力事業であるEC分野では共同購入型EC「拼多多(Pinduoduo)」、「京東集団(JD.com)」、新興ECの「抖音電商(Douyin Dianshang)」や「快手電商(Kwaishop)」などが市場を侵食し、地域生活サービス分野では美団も手強い。しかし、同市場の規模もECに匹敵するほどであり、失うことはできない。アリババが劣勢を挽回するには、新しい試みが必要だ。

(翻訳・二胡)

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