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フードデリバリーなどの生活関連サービスを提供する「美団(Meituan)」はここ2年で、包括的な高齢者向けサービスを構築した。デジタル化時代において約2億6000万人の高齢者を取り残さないことを目標にしている。
あるデータではスマホを使えない高齢者人口は約1億4000万人に上る。高齢化が進む中国社会では、この数は今後も増加傾向が続くとみられる。
2020年に実施された第7回中国国勢調査の副グループ長を務めた国家統計局局長の寧吉喆氏は、高齢化は労働力の減少につながり、家庭での介護の負担や公共サービスへの圧力が増す一方で、「シルバー産業」の発展を促し、高齢者関連製品やサービスなどが拡大し、技術的な進歩の後押しにもつながるとの認識を示した。
都会に出る若者、誰が高齢者の世話をするのか
中国メディアの報道によると、20年第4四半期の中国の高齢者世帯は1億2000万戸に上るという。。
この高齢者世帯が直面する重要な問題の一つが生活サービスの利用だ。薬の購入や買い物などで付き添いや、代理購入サービスの利用が必要なケースが多く出ている。特に新型コロナウイルスの感染拡大後は、生活サービスにおけるオンライン化が加速しているため大きな課題となっている。
したがって、生活サービスにおける高齢者のインターネット利用のハードルを下げることが急務となっている。
美団はこの点に注目し、19年から各業務において高齢者向けサービスの改善に取り組んできた。約2年をかけて、ようやく高齢者向けサービスがスタートした。美団アプリでは高齢者ユーザー向けのカスタマイズ画面をリリースし、音声通話のアップグレードを行った。このアプリは美団の各業務をカバーしており、高齢者の生活の様々な面と密接につながっている。
昨年リリースされた共同購入サービス「美団優選(Meituan Select)」にも高齢者向け機能が追加された。アプリの「孝心首選」では、子どもが両親の住所を設定し、両親に代わって商品を購入すると、商品を両親が住む地域社会の共同購入責任者のところに届けるようになっている。荷物の受け取りが困難な高齢者に対しては宅配サービスも行っている。
デリバリーサービスは美団で最もよく利用されているサービスだ。美団が「音声通話」サービスをリリースしたことで、高齢者は携帯電話から音声で簡単に注文することができるようになった。このほか薬のデリバリーサービスも行っている。高齢者は音声通話でオンライン上にいる薬剤師に相談して、薬を購入できる。
ポストコロナ時代になり、旅行シーンなどでもデジタル化が始まっている。入場券購入業務は美団が得意とするサービスの一つだ。美団は高齢者向けの「入場券予約購入」のオンラインサービスを始めた。購入の操作フローを大幅に簡略化し、時短を図ったことで、高齢者の旅行体験も確実に向上した。
このほか、操作が単純な配車サービスも今年から試験的にスタートしている。アプリで配車サービス画面にアクセスした後、音声で配車手続きを行うことができ、乗車場所や目的地を入力する必要はない。高齢者の外出時の利便性を向上した。
このサービスには道順アラート機能もあり、遠回り防止などの高齢者の安全・安心を確保している。下車時には現金による車内決済機能もある。21年の春節後には、高齢の両親に代わってその子どもがオンライン上で支払いができる機能もリリースした。
「社会的効果+経済的効果」が美団の新たな使命
IT企業によるサービスの「高齢者対応」がひとつの潮流になりつつある。
モバイルインターネット時代に誕生した中国ネット配車最大手「滴滴出行(DiDi)」、美団などの利用シーンはすでに人々の日常生活に入り込んでいる。そのため高齢者対応の試みとその進展は極めて重要となっている。
インターネットにより生活は向上したのかという疑問の声は多い。美団が、インターネット利用が必要な高齢者を対象としたサービスをリリースしたことがその答えなのかも知れない。
美団の新たな使命は、高齢者層が若年層と同じように、インターネットの利便性を享受できるようにすることだ。
高齢者対応の動きは無視できない経済効果をもたらす。22年には、現在の約2億人に新規の高齢者人口が加わる。IT企業にとっては新規ユーザー獲得の絶好のチャンスとなる。高齢者人口の増加に伴い、各種の消費需要も急成長している。
美団は、高齢者向けサービスを通して2億人+新規高齢者層の「衣食住+交通」など日常生活に密接に関わる分野の需要を解決する企業となり得る。
IT企業にとって、高齢者層の増加は試練でもあり、またチャンスでもあるのだ。
(翻訳:lumu)
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