蘭州ラーメンにチェーン化の波 ブランド化と技術維持の両立課題

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蘭州ラーメンにチェーン化の波 ブランド化と技術維持の両立課題

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中国甘粛省蘭州市で誕生した「蘭州ラーメン」が投資家の注目を浴びている。

蘭州ラーメンのチェーン店を展開する「陳香貴(ChenXiangGui)」と「馬記永(MaJiYong)」は今年4月と5月にそれぞれエンジェルラウンドで資金を調達した。また、同じ5月には「張拉拉(ZhangLaLa)」が新株発行により資金を調達。今年に入って、蘭州ラーメン企業への投資熱が高まっている。コーヒーやオリジナル茶に見られたように、蘭州ラーメンという商材に隠れた「うまみ」が期待される。

「蘭州牛肉麺」とも言われる蘭州ラーメンはスッキリとしたスープに大根、パクチー、ニンニク、ラー油などがトッピングされる。中国のどこでも食べられる国民食として親しまれてきた。

格隆匯新股作成のグラフ

公式データによると、中国国内には麺類を提供する店舗が40万軒あり、そのうち20万軒は蘭州ラーメンの店舗だ。北京、上海などの一級都市では約2000店が営業している。

蘭州ラーメンは中国の飲食業界の中でも最も規模が大きく、チェーン化、ブランド化による成長が見込まれる。近年、中国の飲食店のうちチェーン店が占める割合は増加傾向にあり、2018年から2020年の間に12%から15%へと増加した。ただ、チェーン店の浸透率は日本、米国に比べるとまだ低い。

格隆匯新股作成のグラフ

外食チェーンにはこれまでも積極的な投資が行われてきた。成熟し、安定した需要があり、大規模なチェーン展開が見込める商品が無視されるはずがない。特に、良質な消費体験が求められる今は蘭州ラーメンを新しくブランディングし、市場でシェア拡大を狙う企業も出てきている。

資金調達をした陳香貴、馬記永、張拉拉は上海が発祥だ。大衆向けで小汚い印象があった蘭州ラーメンの印象を変え、百貨店、ショッピングセンター、オフィスビル付近などに出店している。店舗デザインも古めかしくなく、中国的な要素を取り入れたシンプルかつスタイリッシュなものになっている。

インターネットからのキャプチャー

安いというイメージの蘭州ラーメンだが、上述3社の客単価は40元(約700円)を超えるという。消費水準の高い若者をターゲットにする動きもある。

とはいえ、大規模なフランチャイズ運営は「言うは易く行うは難し」だ。老舗店舗の多くは、熟練の技で経営を支えてきた。小規模な個人経営の思考回路を抜け出すのは容易ではなく、「ブランド化」となるとさらに難易度が高い。

蘭州ラーメンは麺のコシが特徴だが、それは職人の手作業により生み出される。製麺作業において人の手が入らないものはない。揉む、伸ばすなどの反復作業、均衡な力加減、一定の速度などが求められる蘭州ラーメンの製造技術は今年6月、「第5回国家級無形文化遺産代表的項目リスト」に登録されたばかりだ。

いくらチェーン化を促進しても、「匠の技」を機械が肩代わりするのは簡単でないということになる。機械に代わったことで麺のコシや味が失われてしまえば、評判を落とすリスクが大きい。

しかし大規模化は企業のブランド化、持続可能な発展のために必然の道なのだ。出店地を選定した後は、蘭州ラーメンの良さをどう守っていくのかが最も大きな課題となるだろう。製品を標準化し、安定的な生産を保証するほかに、本来の味を損なわないことも重要だ。

蘭州ラーメンが市場で成長するチャンスはある。このカテゴリの評価はまださして高くないものの、蘭州ラーメンを巡ってはすでに起業ブームが起き、新しい投資対象にもなってきている。だが蘭州ラーメンは「品揃えは豊富だがブランドがない」という特徴が際立っており、投資家の注目を集めるだけでは成長し切れない。小規模な飲食店をブランド化し、チェーン展開を進めることが重要であり、蘭州ラーメンの運営管理はまだ修行が必要だ。

作者:格隆匯新股(WeChat ID:ipopress)、昀朶
(翻訳・Qiunai)

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