変電所の巡回検査をロボットが肩代わり、収集データ活用しデジタルツインにも意欲

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変電所の巡回検査をロボットが肩代わり、収集データ活用しデジタルツインにも意欲

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巡回検査ロボットの開発を行う「千巡科技(KiloX)」はこのほど、「梅花創投(Plum Ventures)」が主導するエンジェルラウンドで数千万元(数億円)を調達したと発表した。調達した資金はソリューション開発やチーム拡充に用いるという。

2019年創業の千巡科技は移動式ロボット、産業用コンピュータービジョン、IoT活用を研究するテック企業だ。巡回検査をメインに、顧客の資産や生産環境を安全に管理するためのトータルソリューションやカスタマイズサービスを提供している。

同社がターゲットにしているのは電力業界だ。創業者の王淮卿CEOによると、電力供給は国家経済や生活に直結するため、電力業界では特にコンプライアンスが重視されるという。また電力設備の故障は多大な損害をもたらしかねず、リスク回避が極めて重要になる。さらに専門スタッフによる巡回検査はコストがかかるうえ、どうしても死角が存在してしまう。「IT技術を活用した次世代送電網の普及とともに、電力システムがリアルタイムで設備のモニタリングを行う必要性がますます高まり、効率の低い手作業ではすでにまかないきれなくなっている。これらのニーズや課題が無人巡回検査の発展を後押ししてきた」と王CEOは語る。

変電所内で活用される千巡科技の巡回検査ロボット

千巡科技はまず変電所の巡回検査にアプローチし、移動式ロボットを中核としたスマート巡回検査のソリューションを開発した。

このソリューションにはハードウエアとソフトウエアの両面が含まれている。ハード面では、施設内外での使用が可能な巡回検査ロボットを開発した。自律走行、観察、記録、分析能力を備えたこのロボットは、自動で経路設計をして障害物を回避しながら巡回検査を行う。不具合を診断して異常を知らせるなど、検査人員による巡回作業を肩代わりし、施設内の設備状況をリアルタイムで可視化、数値化して維持管理の効率や設備運用の安定性を高めている。

「ロボットには自社開発したコア部品を使用しているので、効果的にコストカットを実現できた。また開発をモジュール化したことにより、スピーディーな改良とアップデートを行えている。しかもこのロボットは施設の内外を問わず、全天候に対応している」と王CEOは説明する。

ソフト面では、さまざまなシナリオに対応した巡回検査情報システムのクラウドプラットフォームを開発している。現在、変電所向けのデジタルツインシステムと公安向けの巡回警備システムという2業種に特化したソリューションができあがっている(※デジタルツイン:仮想空間で現実空間を再現する技術)。

「巡回検査ロボットは単に検査を行うだけでなく、大量のデータを収集する。これが産業向けデジタルツインを構築する基礎となる。引き続きソリューションの導入を推し進め、今後のデジタルツイン構築に備えたい」と王CEOは語っている。

王CEOはシリアルアントレプレナーで、過去には「斯坦徳機器人(Standard Robots)」を立ち上げCEOに就任している。チーフサイエンティストの韓景光氏はAI分野の著名な研究者で、13年にわたり海外で研究や管理のキャリアを積んできた。これまでアクセンチュアのAIイノベーション事業責任者のほか、中国の大手企業でチーフサイエンティストを歴任してきた。開発ディレクターの粟玉雄氏は開発管理に10年間携わっており、バイトダンス(字節跳動)でAI+IoT事業の技術責任者を務めた経歴をもつ。
(翻訳・畠中裕子)

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