酷暑対策の”秘密兵器”!体感マイナス5℃の新素材、中国名門大学が開発

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酷暑を乗り切るための方法を科学者たちも考えている。

華中科技大学と浙江大学のメンバーで構成された研究チームが、光を反射することで人体が吸収する熱の量を減らす、通気性に優れた新素材「メタファブリック」を開発した。この素材で作られた衣服を着用すると体感温度を約5℃も下げられる。この「冷却の秘密兵器」は、学術誌サイエンスにも認められた。

太陽光を反射するスーパー素材

まず新素材が何から作られているのか見てみよう。

屋外の直射日光下でパッシブクーリング(自然冷却)が可能なメタファブリックは、繊維原料として環境にやさしい生分解性ポリ乳酸を使用している。これを酸化チタンとのナノ粒子に合成し、特定の波長帯における新たな光学特性を導入することで、一様連続のメタマテリアル繊維が得られる。

最後にフッ素樹脂のポリテトラフルオロエチレン(PTFE;「テフロン(Teflon)」の商品名で知られ、防水・透湿性のある衣類によく使用される)のフィルムを表面に貼り付けると完成だ。

メタファブリックの太陽光スペクトル領域(0.3〜2.5 μm)における反射率は92.4%。太陽光スペクトルは大まかに3帯域に分けられるが、メタマテリアル素材中の異なる層がそれぞれの帯域に反応し、最終的に紫外線(UV)、可視近赤外線(VIS-NIR)、中赤外線(MIR)という広域を的確に遮断できる。

このようにして、メタファブリックに覆われた皮膚や物体の温度は自然に下がっていく。

しかし、冷却効果だけでなく、次のような多くの利点がある。

・防水性と通気性に優れ、柔らかで肌に優しい
・生分解性の材料を主に使用し、環境に優しい
・大量生産が可能

新素材の優れた冷却性能は、通常の衣服のコストにわずか10%を足すだけで享受でき、高温環境で防護服を着用する医療従事者など、需要を持つ一定の層を十分に満足させられる。

さらに、ミシンで表面に図案を描くのに充分な強度も備えている。

一般的な生地よりも温度が5~7℃低い

新素材の効果を検証するために、研究チームは現実の環境下で一連の実験を行った。

彼らは日射量がピークとなる11~15時の間、数種類の一般的な生地を太陽光にさらした。

その結果、新素材の温度は綿よりも5.0℃、スパンデックスよりも6.8℃、シフォンよりも7.0℃、リネンよりも5.8℃、露出した模擬皮膚よりも10.2℃低いことが明らかになった。

研究チームはよりリアルな状況をシミュレートするため、身頃の右半分を綿、左半分を新素材で作ったベストを着用したボランティアに日光浴をしてもらった。すると1時間後、ベスト表面の左右の温度差は3.4℃になっていた。

ベストで覆われた体表温度は、綿で覆われた部分よりも新素材で覆われた部分が約4.8℃低くなっていることが明らかになった。

同時に、研究チームは新素材の冷却効果を、模型ではあるが自動車でも検証した。

冷却効果は良好だった。新素材で覆われた自動車は、市販のカーカバー素材で覆った場合に比べ27℃、カバー無しの場合に比べ30℃温度が低くなった。

実験の結果は、このメタファブリックが高効率な放射冷却性能を備えており、物流・輸送などをはじめ、多様な高温シーンで大きな商用化の可能性を持つことを示すものだ。

この研究は、武漢光電国家研究センターの陶光明教授と浙江大学光電科学・工程学院の馬耀光教授が共同で統率している。このほかにも、賽動新能源科技、武漢紡織大学、青島大学、中国紡織科学研究院(China Textile Academy)などの機関が研究に本研究に参加している。

作者:WeChat公式アカウント「量子位(ID:QbitAI)」、豊色

(翻訳:浅田雅美)

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