屋外家具ブランド「Outer」が米市場で急成長、評価額は1年弱で約10倍に

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屋外家具ブランド「Outer」がこのほどシリーズBで5000万ドル(約56億円)を調達した。出資は「今日資本(CAPITAL TODAY)」が主導し、「Tribe Capital」「C Ventures」「Upfront Ventures」のほか、既存株主の「セコイア・キャピタル・チャイナ(紅杉資本中国基金)」、Mucker Capitalなども出資した。同社の評価額は前回のラウンドから10倍近く上昇したという。

2018年設立のOuterは2020年にエンジェルラウンドを実施、今年1月にもシリーズAで1050万ドル(約12億円)を調達している。

コロナの感染拡大以来、中国企業の機能性ソファ、オフィスチェア、小型家電などが海外市場で好調だ。Outerは当初家庭用屋外ソファを扱っていたが、汚れやすく耐久性が低いほか、色褪せや収納しづらいなどの問題があった。

そこで、Outerは環境に優しい生地を開発し、防カビ、色褪せ防止機能を高め、形状記憶綿と防水カバーを組み合わせたクッションを採用した快適で清潔な防水の屋外ソファを製造した。さらにOutershellという名前の特許を取得した埋め込み式の取手で収納性も高めた。

このソファでOuterは米国の高級屋外ソファ市場で急速に足場を築いた。最初のモデルの発売から11カ月後の20年4月、Outerの月間売上高は200万ドル(約2億2000万円)に達し、20年の年間売上高は10倍伸びた。

物流面では、輸出はコンテナ不足問題があるうえ、大型製品はコストや輸送の難しさが伴う。同社は高弾性の形状記憶クッションやアルミとラタンを使用して折りたたみやすくし、3人掛けソファを分解して輸送することで積み卸しや宅配が簡単になった。

創業者の劉佳科氏は「Outerは売上高よりも顧客ロイヤルティを測る指標のネットプロモータースコア(NPS)を重視する。ユーザーの満足度は製品のほか、購入前から購入後にわたる体験も含めてのものだ。納品までの時間に関して言えば、米国の大部分の高級家具では注文から配達まで数カ月かかるが、Outerは7日で配達する」と話す。

Outerは環境保護の理念を重視しており、前述のソファの生地は100%リサイクル可能だ。また、Outer製品は森林保全に関する「FSC認証」を取得している。

Outerは、ユーザーが自分の家をショールーム代わりとする「Neighbourhood Showroom(ご近所ショールーム活動)」を行っている。ユーザーが申請してホストになり、製品に興味のあるユーザーに製品を体験してもらうと、一定額の報酬が得られる。同社のデータによると、現在1000カ所以上の体験スポットがある。

同社は当初からFacebookやInstagramでマーケティングを行ってきた。劉氏はFacebookは重要だとしたが、アップルが個人情報保護を強化した新しいプライバシーポリシーではブランドのターゲティング広告は難しくなるとの見方を示した。

Outerはチラシ、看板広告、ラジオ、テレビ、雑誌、郵便など従来からのマーケティング方法に力を入れている。SNSが盛んな現代にあって効率が悪い方法に見えるが、Outerは引っ越しをする人向けに郵便を送るため、マーケティングの効果はFacebookの3倍だという。

Outerはブランディングにも力を入れており、劉氏は「ブランドマーケティングと費用対効果を重視するマーケティングの両方を進めていることが特徴」と話す。

劉氏によると、成長と顧客ロイヤルティのバランスを取ることは新しいブランドが広く直面する難題だという。Outerはこの1年でブランド力が急速に上昇した。劉氏が提供したデータによると、Outerがプロモーションで獲得した受注の割合は昨年の20%から10%以下に低下した。

Outerは新製品の開発も進めているほか、環境にやさしい生地やセメント、プラスチックなどの新素材も開発中だ。

(翻訳・二胡)

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