ドイツ発のハードディスカウントストア、厳選した品揃えとPB商品で急成長

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ハードディスカウントストアを展開する「比宜徳(Biyide)」はこのほど、PEファンドのArgan Capitalから数億元(数十億円)を調達した。フィナンシャルアドバイザーはBDA Partners。比宜徳のフィリップ・スパンジェンバーグCEOによると、調達資金は店舗網の拡大に充てられる。

2017年に設立された比宜徳は上海に本社を構える小売事業者で、中国の消費者にコストパフォーマンスの高い商品を提供している。同社によると、2017~21年の年平均成長率は120%、売上高に占めるPB(プライベートブランド)の割合は約40%に達し、平均販売価格は競合他社より約35%安いという。

Argan Capitalのパートナーを務めるロイド・ペリー氏によると、「ハードディスカウント」とは、効率的な運営システムと卸し・仕入れの経験をベースにSKU(品目)を厳選し、高品質なPBの割合を高めながら販売価格を下げること。ハードディスカウントストアは発祥地のドイツであらゆる層の消費者が買い物をする欠かせない場所となっているが、中国ではまだ市場が開拓されていない。

食品雑貨業界の調査会社IGDによると、中国は2023年に米国を抜いて世界最大の食品雑貨市場となる見通しだ。中国の都市部は人口密度が高く、消費者はコストパフォーマンスの高い商品を好む傾向にあるため、ペリー氏はハードディスカウントストアが中国で発展すると見込んでいる。

一般的な食品雑貨を販売する比宜徳はSKUを約600に厳選し、面積が200~300平方メートルに上る各店舗のレイアウト、品揃え、価格をほぼ均一にすることで、中国の消費者に手軽でシンプルな消費体験を提供しようとしている。

画像は企業提供

ある消費者は、比宜徳の店舗は外観が目立たず、店内も飾り気のない倉庫式の売場スタイルとなっており、オンラインでの宣伝はほとんど行われていないと話した。

同社は商品の選択やPBの展開において販売データやランキング、グレード(標準、中級、上級に分類)を考慮。また、PBと他ブランドを比べながらグレード、販売価格、サプライヤーの出荷および品質管理能力などを判断している。

すでに上海市と江蘇省を中心に160カ所以上の直営店舗を展開。今年4月にはオンラインプラットフォームを立ち上げ、宅配サービスを開始した。上海にある2カ所の物流・配送センターはそれぞれ約140店に対応可能だ。

ドイツ出身のCEOらはハードディスカウントで数十年の経験があり、中国人の幹部と社員も現地消費者の需要を熟知して運営の経験も豊富なため、同社ではお互いが補完しながら中国の実状に合う販売モデルを確立しようとしている。

スパンジェンバーグCEOによると、現在は江蘇省で店舗網の拡大に注力しており、将来的には長江デルタと華東地区へ営業エリアを広げ、2025年までに総店舗数800店を目指すという。
(翻訳・神戸三四郎)

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