ビリビリ動画、初のライブコマース参入 二次元文化生かしで出足好調

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中国の動画配信大手「ビリビリ動画(Bilibili)」は9月19日、自社ECサイト「会員購」のショッピングイベント「本命好物節」で初めてライブコマースを実施した。人気配信者の謝安然、涼風KAZE、韓小沐、泛式が進行役となり、人気キャラクターのフィギュアやビリビリ関連グッズ、JK制服など二次元カルチャー製品の販売を行った。

ライブコマースは、ゲームキャラクター、ビリビリオリジナル動画のキャラクター、スーパーアイドル、熱血キャラクターの4カテゴリに分かれて行われ、わずか4時間の配信だったにも関わらず、その成果は申し分のないものだった。ショッピングイベント初日のGMV(流通取引総額)は前年比72%の増加となり、参加ユーザー数は同60%増加した。

現在のところライブコマースは「抖音(Douyin、海外版はTikTok)」や「快手(Kuaishou)」などのショート動画プラットフォームによるものと、「タオバオ(淘宝)」や「京東(JD.com)」などのECプラットフォームが行うものの2つに大別できる。

ビリビリ動画には配信者がおり、EC事業も抱えているが、ライブコマース事業となると事情は異なってくる。ビリビリはもともと、同じ趣味を持つ若者たちが作り上げた文化コミュニティーという立ち位置をとっているからだ。

初期にはアニメ・漫画・ゲーム(ACG)の愛好家たちが集まってコンテンツを楽しむ交流の場だったが、その範囲は次第に広がり、今では絵画や漢服、ハンドメイド、フィットネスなどあらゆる趣味の人がビリビリ動画で仲間を探せるようになっている。

愛好家たちが集まるなかで、関連商品の需要も生まれてきた。

今回のライブコマースに参加した謝安然は2018年以降、完成度の高いロリータファッションとメーキャップ動画で90万人以上のフォロワーを集めてきた。今年5月に配信した動画では自身が購入した300足のロリータシューズを披露し、おすすめ商品も紹介している。このような配信はそれ自体が商品PRとなる。別の配信者とタイアップしてリリースした漢服は今回のショッピングイベントにも登場した。

ビリビリ動画も営利を目的とした企業である以上、ビジネスモデルを確立し、安定したキャッシュフローを実現する必要がある。2019年にようやく1億人を超えた月間アクティブユーザーは、今や2億3700万人にまで増加した。長期的な成長を維持するため、ビリビリ動画はこの数年に収益向上のための試みをいくつも行ってきた。

EC事業、ライブコマース、人気配信者のトラフィックなどを通じて、ビリビリ動画は新たな成長分野を獲得しつつある。

ライブコマースへの参入は、ビリビリ動画の他事業の成長にもつながる。ECサイト会員購がブランドと長期的にコラボできるようになり、商品の売り上げを伸ばせるほか、ライブコマースでより多くの視聴者を引きつけ、売上高に応じたレベニューシェアの増加が見込める。配信者もブランドとのいっそう緊密な協力関係を築き、新たな収入源を開拓することができる。

見逃してはならないのは、配信者たちのオリジナリティーだ。これまでにないライブコマースの新たな形態を生み出すことができるかもしれない。人々が目にするライブコマースといえばとにかく購入を促すものや、ひたすら商品の紹介を続けるものが多い。もし配信者が独自のアイデアでライブコマースの形態を大きく変えることができれば、ライブコマースにエンターテインメント性を持たせ、配信者のスタイルにいっそう合致したものにできるはずだ。

ビリビリ動画のライブコマースが最終的にどのような形態に収まるのか現時点では未知数だが、現状から見るに、既存のライブコマースを補強する役割を担うようになるのかもしれない。
(翻訳・畠中裕子)

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